【しゃベルシネマ by 八雲ふみね・第402回】
さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。
今回は、4月28日から公開となる『オー・ルーシー!』を掘り起こします。
カンヌをはじめ世界を席巻した日米合作の話題作、ついに日本のスクリーンへ。
東京で働く43歳の独身OL、節子。彼女は近い将来やって来る“退職”と、いずれ訪れる“死”を待つだけの毎日を送っていた。ひょんなことから姪の美花の代わりに英会話教室に通うことになった節子は、アメリカ人講師ジョンから教室内では金髪のカツラをかぶり“ルーシー”というキャラになりきることを強いられる。ジョンの一風変わった授業に触発され、眠っていた感情が解き放たれたかのようにジョンに恋をする節子。
しかしそんな幸せもつかの間、ジョンは美花と一緒に日本を離れてしまう。自分が置かれた人生に納得がいかない節子は、二人を追いかけて姉の綾子と共にアメリカへ旅立つ決意をする…。
憂鬱な日々を送る独身OLが日本とアメリカで大騒動を巻き起こすコメディドラマ『オー・ルーシー!』。カンヌ国際映画祭を皮切りに海外の映画祭を席巻、フランスやアメリカでも公開された日米合作映画が、ついに日本のスクリーンに登場。
メガホンを取った平栁敦子監督は17歳で単身渡米し、ニューヨーク大学大学院で映像制作を学んだという華々しいキャリアの持ち主で、これが長編監督デビュー作。いまや世界を舞台に活躍する平栁監督ですが、留学当初は言葉や文化の違いに戸惑って言いたいことが言えないという苦い経験もあったとのこと。当時の自分自身を主人公に重ね合わせ、人生に不器用なあまり暴走してしまう節子の旅路を時に赤裸々に時にユーモアたっぷりに描いています。
そんな才能あふれる女性監督の才能を後押しするかのように、日米豪華キャストの共演が楽しめるのも本作の醍醐味。主演に寺島しのぶ、共演に南果歩、忽那汐里、役所広司と海外でも活躍する日本人俳優たちが集結。
さらにはハリウッドで頂点を極め、現在はインディペンデント映画を中心に活躍するジョシュ・ハートネットも参加。それぞれの個性がぶつかり合い、おかしくも切ないアンサンブルを奏でます。
“節子”が“ルーシー”に変わることで、大きく変化する彼女の人生。人生に困惑することも決して悪いことではない。
平栁監督が主人公を通じて投げかけるメッセージが、一筋の希望のように沁みる映画です。
オー・ルーシー!
2018年4月28日からユーロスペース、テアトル新宿ほかにてロードショー
監督・脚本:平栁敦子
出演:寺島しのぶ、南果歩、忽那汐里、役所広司、ジョシュ・ハートネット ほか
©Oh Lucy,LLC
公式サイト http://oh-lucy.com/
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/