ポルトガルのゆったり自由なドッグ&キャットライフ
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【ペットと一緒に vol.86】
今回は、ポルトガルで筆者が撮影した、犬と猫のいる風景写真をお届けします。スマホやPC画面をスクロールしながら、ぜひ旅気分に浸ってみてください。
大西洋を望む国で
初めて訪れる国では、犬や猫がどんな暮らしをしているのかを垣間見るのも楽しみのひとつ。
筆者がポルトガルをめぐった際は、犬や猫が路地裏からひょっこりと姿を現すたびに心が躍りました。
古城を囲むように古い建物が軒を連ねるオビドスでは、小さな街のサイズに合わせるかのように、小さな犬たちが目立ちました。
放し飼いの犬が多く、玄関先から突然歩道に出てきたり、ゆったりと歩く飼い主よりもさらにスローペースでその後を追って散歩をしていたり……。
ゆったりとした時を刻むオビドスの街では、きっと昔から同じような光景が観光客の目に映ってきたことでしょう。
飼い主さんといつも一緒に
海辺のリゾートであるナザレにも、多くのバカンス客と戯れる犬たちがいました。
露店で小物を販売する飼い主さんといつも一緒にいるという犬は、看板犬を超えて、客の呼び込みすらこなす人懐っこさ。おでこの模様も愛らしく、たくさん写真を撮らせてもらったお礼になにか買おうとしましたが、その愛犬とは対照的に「別にいいわよ」というゼスチャーで、商売っけがほとんどない店主のあっさりした対応も印象に残っています。
レストランやみやげ物店が建ち並ぶストリートを裏手に入ると、陽光を受けながら風にひらめく洗濯物の下で、小さな犬が伏せていました。近くに寄っても、ずっと同じ方向を見つめ続けたままなので、きっと飼い主さんの帰りでも待っているのでしょう。
ポルトガルといえば、オバマ前大統領が飼っている、ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグという水漁犬が有名です。潜って魚を追い込んだり、魚の網を回収する役割を担っていたというこの犬種に、漁師も多いナザレの街でならばもしかして出会えるかもしれないと思っていましたが、残念ながら願いは叶いませんでした。
都市部の犬と猫たち
ポルトガル第2の都市であるポルトに入ると、さすがにノーリードの犬と出会うことは少なくなりました。
それでも、世界遺産にもなっている歴史地区を散策中、港で犬を放している飼い主さんに遭遇。リードを外された瞬間から、犬はうれしさを爆発させて走り回っていましたが、飼い主さんが呼ぶとすぐにその足元へ。さすが、犬を家族の一員としてきた歴史が長いヨーロッパだと、少し感心しながら筆者はシャッターを切りました。
裏路地を散策していると、「ワォ」と首と背筋が伸びる光景が!
空き地に、白黒模様の猫が、いったい何頭いるのでしょう……? しかも、日差しが強すぎるのかみんな日陰に集まっています。
首都のリスボンは、さすがに住宅が密集しています。観光地へ向かって歩いていると、初老のご婦人が玄関ドアを開けて、愛犬とずっと道行く人を見ている光景が目に入りました。ご婦人はときどきダルメシアンにときどき話しかけたりしながら、ずっと座っています。
リスボンでは、レストランの店主と出勤するプードルにも出会いました。
「何年もこんな感じで一緒に出勤している、オレの相棒さ」と、店主は微笑みます。
店内で開店準備が始まると、プードルは路地に出てきて、店の近くに住んでいるというご婦人からおやつをもらったり、道行く人に撫でられたりしながら開店を待っているようでした。
国と文化が違えば、人のそばに寄り添って生きる犬や猫の暮らしも少しずつ変わってきます。街並みとともに、そんな犬や猫の姿も写真に収めれば、旅の思い出に豊かな彩が添えられるような気がします。
連載情報
ペットと一緒に
ペットにまつわる様々な雑学やエピソードを紹介していきます!
著者:臼井京音
ドッグライターとして20年以上、日本や世界の犬事情を取材。小学生時代からの愛読誌『愛犬の友』をはじめ、新聞、週刊誌、書籍、ペット専門誌、Web媒体等で執筆活動を行う。30歳を過ぎてオーストラリアで犬の行動カウンセリングを学び、2007~2017年まで東京都中央区で「犬の幼稚園Urban Paws」も運営。主な著書は『室内犬の気持ちがわかる本』、タイの小島の犬のモノクロ写真集『うみいぬ』。かつてはヨークシャー・テリア、現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らす。東京都中央区の動物との共生推進員。