多民族国家のミャンマー、難しい民族問題と難民問題

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月7日放送)にジャーナリストの有本香が出演。ミャンマーの少数民族や難民について解説した。

「ロヒンギャ問題」

ミャンマー西部では去年少数派のイスラム教徒「ロヒンギャ」の武装勢力と政府の治安部隊が衝突し、国連の推計でおよそ70万人が隣のバングラデシュに避難している。昨日、河野外務大臣は訪問先のミャンマーでアウンサンスーチー国家顧問兼外務大臣と会談を行い、ロヒンギャ難民の早期帰還実現に協力する考えを伝えた。

飯田)ロヒンギャが多く住む西部ラカイン州の生活水準向上のため、送電網や道路、学校整備などインフラ支援を拡大するということです。少数イスラム教徒と仏教徒の衝突と言われますが。

有本)仏教徒とイスラム教徒の衝突というのは、外国のメディアが作り出した構図だとミャンマー政府側は言っているのです。この問題が去年くらいから欧米系のメディアで大きく言われるようになった。それ以前からロヒンギャ問題と言われるものはありましたけれども、そのときに日本のミャンマー大使館で大使自らメディア関係の人にブリーフィングをするということで、私はそれに2回ほど行ったのです。そのときの向こうの説明としては、「衝突はもちろん治安維持部隊との間で起きているのだけれど、そもそもこの「ロヒンギャ」という名称を私たちは認めていません」と。「あの人たちはベンガル人です」と。
ミャンマーの国内には、いろいろな民族がいますよね。少数民族がたくさんいて、それぞれが武装勢力化して内戦もやっていましたよね。いま、内戦はだんだんと収まる方向ですけれども、その民族のなかに入っていないわけです。ベンガル系の人たちが住んでいる地域がラカイン州にはあるのですけれども、そもそも歴史的に言うと、英領時代イギリスがミャンマーを支配するときに、いまのバングラデシュ、ベンガル地方から連れて来た人たちの子孫なのですよね。イギリスが当時のビルマを抑え込んでいく尖兵としてこういう人たちを使ったということで、そもそもしこりがあるのですね。

飯田)分断統治ですね。

有本)いまの世代のなかには、ベンガル系の人でもミャンマー国民として国籍を持って活躍している人もいるわけです。しかし、民族的に特殊な人たちであることは間違いなく、更にミャンマーの国境のところでバングラデシュ側に難民として出ている人がいるのだけれど、その多くの人たちのなかに、バングラデシュ側からいまミャンマー側に来ている人も含まれているのです。そこは流動化しているということを言っているわけですね。でも外国メディアの報道では、完全に「ロヒンギャ」と呼ばれる人たちがミャンマーの国内で弾圧を受けているという、かなり一方的な報道になってしまっているから、「我々のこともわかってください」というお話でしたね。

国籍不明の難民が多く、救うのが難しい

飯田)ロヒンギャの方々で国籍がない人たちもいるとなると、どこの国の保護も受けられなくなってしまうというのがありますね。

有本)完全な難民というか、よくわからなくなってしまっている人たちもかなりいると。この少数民族はたくさんいるのだけれど、政府側と長い間内戦をしていた少数民族側の人たちも「ロヒンギャという民族はいないよ」と言っているくらい非常に難しいのです。
日本政府も「ロヒンギャ」という名前を使わないようにしています。この人たちをどうやって救うかはかなり知恵が必要です。

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