ヤマト過大請求問題~管轄する国土交通省にも問題

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月3日放送)ジャーナリストの須田慎一郎が出演。ヤマトの子会社が引き起こした過大請求問題を中心に、引っ越し業界の問題点について解説した。

ヤマト新規の引っ越しサービスの受注中止

ヤマトホールディングスの引っ越し事業を行う子会社が、17億円を水増し請求していた問題について、第三者委員会は、「悪意を持って意図的に過大請求していた」と認定した。この責任をとり、先週ヤマトは新規の引っ越しサービスの当面中止を発表した。

飯田)問題となったのは引っ越し部門の子会社である「ヤマトホームコンビニエンス」が、法人向けの引っ越し代金を多く見積もって請求するという過大請求をしていたことです。総額17億円のようですが、引っ越しは見積もりにいろいろな項目が並んでいて、よく分からなかったりしますよね。

須田)悪意を持って意図的な過大請求をしていたことに加えて、組織的な過大請求だったと認定されています。
法人向けということは、通常であるなら、「合い見積もり」というのを出させます。ヤマトだけでなく、他の運送業者にも見積書を出させて、「どこが安いのか、なぜこの業者は高いのか」とチェックすべきですけれど、やはり「ヤマト」という看板が値千金ですから、信用力の点で「ヤマトなら間違いないだろう」という意識が法人側にもあったのだと思います。

所管官庁である国土交通省に苦情・相談の窓口が整備されていない

須田)引っ越しは法人だけでなく、個人もけっこうトラブルが多いのです。過大請求どころか、「昼の○時に引っ越しをする」という契約になっていたにも関わらず、引っ越しが深夜にずれ込んだりすることがあります。よく契約書を見てみると、「人員やトラックが用意できなければ、場合によっては時間がずれることもあり得る」と小さく1文が書いてある。

飯田)あんな細かいの、いちいち読まないですよね。

須田)そうですよね。それに、深夜の引っ越しなんて、夜逃げじゃないんだから。

飯田)近所にも迷惑がかかりますよね。

須田)そしてそれを止めようとすると、過大な違約金を取られたりします。
しかし、トラブルが多いことは実は問題ではない。今回の第三者委員会の、調査報告書が提出された国土交通省が所管官庁になっているはずなのに、所管官庁にそうした苦情や相談の窓口がきちんと整備されていないのです。
やはり我々としては、トラブル発生時は役所や所管省庁に電話するのが一般的な行動パターンだと思うのですが、そういう窓口が設けられておらず、どこに相談すればいいのかさっぱり分からないのです。

トラブルの対策を用意できていなかった行政側にも責任がある

飯田)ヤマトのような大会社なら、お客様相談センターのようなものがあるかもしれませんが、決してそうしたセンターが必ず整備されている会社ばかりではないですよね。

須田)運送業者は、小さいところもたくさんありますからね。
行政側にも一定程度の責任があると思います。今回のような、ヤマトクラスの業者が過大請求するようなトラブルは無かったにせよ、引っ越し業者に伴うトラブルは、これまでも多くあった。それは所管官庁もきちんと認識していたはずです。それに対してしっかり手を打ってこなかった。あるいは、苦情や相談を吸い上げる仕組みを作ってこなかった。それらについては、役所にも責任があると思います。

飯田)引っ越しのときはバタバタしてしまい、到着後も荷物を解いたりしていると、「もう仕方がないな」と泣き寝入りしている件も多いかもしれないですよね。

須田)けっこう荒っぽい業界で、会社に苦情を言ってもかなり強く反論されてしまうため、泣き寝入りするケースも多いのです。

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