ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月20日放送)ジャーナリストの鈴木哲夫が出演。仙台市の警官刺殺事件から「交番」のあり方と現状の難しさを解説した。
警察官の安全確保強化~仙台市交番での刺殺事件を受けて
仙台市の交番で、警察官が刃物で刺されて殺害された事件を受け、警察庁は全国の警察に対し、交番の安全確保を一層強化するように指示した。
飯田)刺した男性は別の警察官に拳銃で撃たれて死亡。容疑者は21歳の大学生で、警察官の拳銃を奪うために交番を襲った疑いがあると見られています。最近、富山でも交番が襲われる事件がありました。安全強化が叫ばれているなか、また事件が起きてしまったのですね。
鈴木)容疑者の動機や人物像も含めて、「なぜ犯行に至ったのか?」をまず捜査しなければいけません。
厳重過ぎる警備は「市民と触れ合う信頼の場所」という交番の意義と反してしまう
鈴木)もう1つは、飯田さんが仰ったように「交番の安全をどうするか?」です。
昔は交番は「派出所」と呼ばれていました。新任の警察官はみんなそこへ行き、将来は地域のエリートになるような警察官も、まずはそこで勉強しました。交番は市民や事件や出来事と、最初に接する「警察の最前線」なのです。逆に言うと、市民側も警察と最初に接する場所です。交番で、地域を守ってくれる、俗に言う「町のお巡りさん」に相談に行ったり、場合によっては「おはようございます!」と声を掛け合う。警察にしてみると市民と最前線で触れ合う場所であり、信頼の場所なのです。
今回のような事件があったからと、二重三重に壁を作ってしまったりすると、それは前述したことに反する。だからといって、警察官の安全を考えるとこのままではいけない。例えば防刃ベストを着るとか、机を大きめにして、訪ねてくる人と距離を取るとか、2人体制にするとか。これらはそれぞれ予算も人数も必要になるから、なかなか難しいです。とはいえ、厳重に距離を置きすぎてしまうと本来の目的と反する。本当に難しい問題だと思います。
飯田)天秤ですね。片方を立てれば片方が立たない。
当たり前だと思っていた日本の治安の良さは変わってきているかもしれない
鈴木)どこまで「市民との最前線」という交番の役割をしっかり守りながら、逆に距離をある程度取れるようにするか。本当に頭が痛くなると思います。
飯田)諸外国を見ていると、それこそ「POLICE」と書かれた防弾チョッキを着ている人も自動小銃を持っていたり、しかもそれを「見せる抑止力」として、ある意味で見せびらかしています。日本のお巡りさんには、そういうことはなかなかできませんからね。
鈴木)普通の交番からお巡りさんが出てきても、警棒が見えただけでドキッとしますよね。日本は治安の良さが当たり前でしたが、その感覚がもしかしたら違う時代になってきているのかもしれません。これをきっかけに、そういうことも含めて考えなければいけない。けれど、どこまで安全対策を厳しくするかは、正直な話、警察も難しいだろうなと思います。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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