健康診断で命拾いした愛犬は、夜逃げペット店の生き残り

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【ペットと一緒に vol.113】

健康診断で命拾いした愛犬は、夜逃げペット店の生き残り
ペットショップ崩壊で行き場を失った保護犬のなかから、服部さん夫妻は3歳のポメラニアンを迎え入れ、さくらちゃんと名づけました。犬との出会いはさくらママのその後の人生まで変え、さくらちゃん自身も九死に一生を得る重病も経験。今回は、服部夫妻と愛犬の9年間のヒストリーをご紹介します。


ペットショップ崩壊現場から来た愛犬

服部夫妻の愛犬のさくらちゃんは、ふとした縁で家族に迎えられました。
「犬を家族に迎えたいと思っていたら、経営者の夜逃げでペットショップに置き去りにされ、生き残った犬のもらい手にならないかという話が舞い込んできたんです」と、さくらパパは9年前を振り返ります。

ポメラニアンのさくらちゃんは、とても劣悪な環境から保護されたそうです。いまは体重が3kgありますが、保護当時は2kgでガリガリに痩せていました。
「繁殖用に飼育されていたみたいで、推定3歳。これまで1度も散歩をしたこともなく、人にもなつかず……。と、決して飼いやすそうではありませんでしたが、これからの犬生は私たちが幸せにしてあげたいと思って、迷わず、目の前のシャイで小さなポメラニアンを迎える決心をしました」と、服部夫妻は語ります。

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服部夫妻がお気に入りの1枚


愛犬のためにトリマーに

覚悟を持って迎えたさくらちゃんですが、いざ一緒に暮らし始めると、拍子抜けするほど手がかからなかったとか。
「なんにも教えてないのに、ちゃんとトイレシーツで排泄ができて。よく、愛犬がゴミを漁ったり盗み食いをして困ると聞きますが、さくらはそれも大丈夫でした」と、さくらママ。
「警戒吠えをはじめ、ほとんど吠えることもありません。お留守番も問題なし」と、さくらパパは目を細めます。

根気よく外の環境にも慣らし、さくらちゃんと一緒に旅行を楽しむまでになった服部夫妻。
「もう、かわいくて仕方がないですね。さくらはトリミングが必要な犬種です。自分でお手入れしてあげたいと思って、1年半かけてトリミングスクールにも通い、トリマーの認定資格まで取得してしまいました」と、さくらママは笑います。

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ロング散歩も楽しめるまでに成長


健康診断で重病が発覚!

トリマーとして働き始めたさくらママは、たまたま職場からの案内があり、さくらちゃんに健康診断を受診させることにしました。
「当時、さくらは7歳。人間で換算すると40代半ばなので、まぁ試しに1度、ドッグドックを受けてもいいかな~って」と、さくらママは思ったそうです。

朝食をとらずに動物病院へ行き、健康診断がひと通り終わったところ……。
「さくらちゃん、子宮蓄膿症にかかっていますね。これは命に関わる病気です。胃腸が空っぽなのも好都合ですし、これから、緊急手術をして子宮を摘出しましょう」と、獣医師から告げられたと言います。

「ええっ!? と、半分パニックみたいな状態でしたね。でも、このまま数日間なにもしないでいたら命が危ないと聞き、手術をお願いしました。
もしあのタイミングで健康診断を受けていなかったらと思うと、ぞっとします」。

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さくらちゃんとのかけがえのない毎日

子宮蓄膿症になると、膿の混じったおりものなどが出たりして飼い主が気づくこともあるようですが、さくらちゃん自身がよく陰部を舐めていたことや、陰部が長い被毛で覆われていたため、発見しづらかったようです。


健診で腎臓病を早期発見

健康診断のおかげで九死に一生を得た、さくらちゃん。その経験から服部夫妻はその後も、定期的に愛犬に健康診断を受けさせるようになりました。

「すると、数年後の健診で慢性腎不全も発見されたんです。早期発見ができたおかげで、投薬と療法食をスタートして、現在は腎臓の数値も安定しています」とのこと。
月に1回、腎臓病の治療のための通院を続けるなかで、さくらちゃんの膀胱にある腫瘍が見つかったことも。こちらも現在、経過観察をしながら対症療法を行っているそうです。

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「12歳のいまも散歩を楽しんでるよ~」byさくらちゃん

「さくらも、現在12歳。闘病生活にはなりましたが、幸いいまも元気にしていて、楽しい日々を一緒に過ごせています。トリマーというやりがいのある仕事を得られたのも、さくらのおかげ」と、微笑むさくらママ。
これからも、服部夫妻は笑顔の日々を過ごし、さくらちゃんとのすばらしい思い出を積み重ねて行くことでしょう。

連載情報

ペットと一緒に

ペットにまつわる様々な雑学やエピソードを紹介していきます!

著者:臼井京音
ドッグライターとして20年以上、日本や世界の犬事情を取材。小学生時代からの愛読誌『愛犬の友』をはじめ、新聞、週刊誌、書籍、ペット専門誌、Web媒体等で執筆活動を行う。30歳を過ぎてオーストラリアで犬の行動カウンセリングを学び、2007~2017年まで東京都中央区で「犬の幼稚園Urban Paws」も運営。主な著書は『室内犬の気持ちがわかる本』、タイの小島の犬のモノクロ写真集『うみいぬ』。かつてはヨークシャー・テリア、現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らす。東京都中央区の動物との共生推進員。

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