スマホにまつわる“事件”は、もはや他人事ではありません。
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【しゃベルシネマ by 八雲ふみね 第507回】
さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。
今回は、11月2日から公開の『スマホを落としただけなのに』を掘り起こします。
北川景子の美貌が恐怖に歪む!? SNS社会を描いた新感覚ミステリー
原作は新進作家・志駕晃による同名小説。ミステリー&エンターテインメントの新人賞とされる「このミステリーがすごい!」大賞を2017年に逃したものの、ベストセラーになる可能性を秘めている“隠し玉”として、2017年4月に刊行されるやいなや、そのスピーディーな展開と圧倒的な筆力で読書家たちの間で話題騒然となりました。
スマホを落とす…という、誰にでも起こりうる日常の災難が、とんでもない事件へとつながって行く。私たちにとって身近すぎるテーマを扱ったミステリー映画が、スクリーンに登場です。
いつものように彼氏の富田誠に電話をかけた稲葉麻美は、スマホから聞こえてくるまったく聞き覚えのない男の声に言葉を失ってしまう。その声の主は、たまたま落ちていた富田のスマホを拾った人物だった。その後、無事に彼の手元にスマホが戻ったということで、麻美も一安心。しかしその日から、麻美の日常は一変する。身に覚えのないクレジットカードの請求、SNSで繋がっているだけの親しくない友人からの執拗な連絡。落としたスマホから個人情報が流出したのだろうか。一方その頃、人里離れた山のなかで次々と若い女性の遺体が発見され、連続殺人事件として捜査が始まる…。
稲葉麻美を演じるのは、個性的なキャラクターから清楚なヒロインまで演じ分けることができる北川景子。彼氏がスマホを落とした“だけ”で、奇妙な出来事に巻き込まれてしまうヒロインを熱演しています。共演には千葉雄大、成田凌、原田泰造、バカリズム、要潤、高橋メアリージュン、酒井健太、筧美和子ら豪華キャストが集結。さらに「おっさんずラブ」がきっかけで大ブレイクを果たした田中圭が、麻美の恋人・富田誠役で作品に華を添えています。
メガホンを取ったのは、ホラー映画の名匠、中田秀夫監督。恐怖描写はもちろん人物描写にも長けている中田監督が、情報化社会やスマホに依存した現代人に潜む“闇”を丹念に描き出し、新感覚のホラーミステリーとして完成させました。
ところで、本作の原作者である志駕晃さんをご存知でしょうか? 実は、ニッポン放送の社員だった方なのです。以前、「土屋礼央レオなるど」に志駕さんがゲスト出演なさった際、「毎朝、早朝に原稿を書くことをノルマにしている」と話してらっしゃったのを聴いたとき、仕事の傍ら小説を書き続け、作品を世に送り出したという事実に大きな衝撃を受けました。
ちなみに、最新刊「ちょっと一杯のはずだったのに」は、ラジオ局が舞台の密室サスペンス。こちらも映画化されることに期待大です。
スマホを落としただけなのに
2018年11月2日から全国東宝系にてロードショー
監督:中田秀夫
原作:志駕晃『スマホを落としただけなのに』(宝島社文庫)
脚本:大石哲也 音楽 - 大間々昴、兼松衆
主題歌:ポルカドットスティングレイ「ヒミツ」(UNIVERSAL SIGMA)
出演:北川景子、千葉雄大、バカリズム、要潤、高橋メアリージュン、酒井健太(アルコ&ピース)、筧美和子、原田泰造、成田凌、田中圭 ほか
©2018映画「スマホを落としただけなのに」製作委員会
公式サイト http://sumaho-otoshita.jp/
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/