海外のお米事情~日本食の人気とともに広がるジャポニカ米
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お米ライターの柏木智帆が、黒木瞳がパーソナリティの番組「あさナビ」(ニッポン放送)に出演。お米農家であるご主人との出逢いと海外における日本米について語った。
黒木)今週のゲストはお米ライターの柏木智帆さんです。
農家でお米を作られているご主人とは、取材を通して出会われたのですか?
柏木)はい。取材に行ったとき、田んぼのまんなかにすごくヘンテコなオブジェを作っていました。『藁塚』と言います。地域によって形が違うのですが、昔の日本は稲刈りをすると天日干しをする風景がいろいろな場所で見られました。島根県に『ヨズクハデ』というミミズク型の大きな天日干しの藁塚があるのです。私は藁塚に興味があって、『藁塚放浪記』という本を読んでいて、ヨズクハデについても知っていたのですが、なんと福島県で、彼が田んぼのまんなかに巨大ヨズクハデを作っていたのです(笑)。
黒木)どうして藁塚に興味を持っていたのですか?
柏木)天日干しで、稲を干す時間は1週間くらいしかないのです。稲を起こす期間が1週間で、すぐに引っ込めてしまいます。私はあれを儚い、日本的なものを感じるアートだと思いました。
「どうしてこの形なのか?」を突き詰めると、いろいろな理由があったりするのも面白いと思っていました。そして、それを作っていて「変な人だなぁ」と思って(笑)。そこから色気も素っ気もない、お米に関するマニアックな情報をメールでずっと交換しているうちに仲良くなり、「ベトナムでこんなお米がありました!」みたいな写真を送ったり、そんなやり取りをしているうちにお付き合いするようになりました。
黒木)海外の話も出ましたが、海外でも日本のお米はよく作られているのですか?
柏木)自分が取材したところでは、ベトナムではジャポニカ米を作っています。イタリアはまだ周辺国しか行っていませんが、ヨーロッパはほぼジャポニカ米と言えばイタリア米が多いです。次はタイで作っているジャポニカ米を取材に行こうと思っています。
黒木)いまおっしゃった国にはそれぞれ自国のお米がありますよね。それをわざわざ日本のお米を作っている。気候も環境も土壌も違いますが、作れるのですか?
柏木)向こうで改良したりしていると思います。
黒木)それは「日本のお米は美味しいから」というところからですか?
柏木)国によって事情は違いますが、私が行ったベトナムとタイは日本企業が向こうにあり、作っていますね。タイでは日本食がブームになっていて、「ちゃんとおいしい日本米で日本食を広めたい」とお作りになっているようです。
黒木)海外のお米事情と日本のお米事情。いろいろな発見があって面白そうですね。
柏木)海外のお米を知ることで、日本のお米の魅力に気付くことができればな、と思います。よく農家のおじさんが自分のところのお米だけ食べて、「俺の米は美味い!」と言っている人がいますが、日本のお米だけ食べてそれを美味しいと言っても、なかなか本当の魅力には気付けないと思うのです。海外から日本のお米を客観的に見たいと思って取材しています。
黒木)取材にはお一人で行かれるのですか?
柏木)はい。1度だけ主人も一緒に行きましたが、それは新婚旅行と自分の取材をくっつけて行きました。基本的には1人です。
柏木智帆/お米ライター■元神奈川新聞記者。お米やお米文化を取材するうち、お米の魅力にハマり、米をつくるために8年勤めた新聞社を退職。
■千葉県の営農組合に転職し、無農薬栽培での米作りを開始。
自分で作った米を食べてもらうために、中古のワゴン車を購入してキッチンカーに改造。
東京と千葉でケータリングの「おむすび屋」を運営。
■2年間の米作りのあと、2014年・秋から田んぼを離れてフリーランスのライターに。
東京に拠点を移し、「お米を中心とした日本の食文化の再興」と「お米の消費アップ」をライフワークに活動。お米の魅力や可能性を追究し続けている。
■また嫁ぎ先は「つちや農園」。お米がメインの農家。ササシグレ、亀の尾がおすすめ。
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