「コシヒカリ」「ひとめぼれ」生産者によって味が違うって知ってた?
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お米ライターの柏木智帆が、黒木瞳がパーソナリティの番組「あさナビ」(ニッポン放送)に出演。自ら提案しているお米の魅力について語った。
黒木)今週のゲストはお米ライターの柏木智帆さんです。
新聞記者を辞めて、1年目は組合に入ってお米作りを教えていただき、並行してキッチンカーを作り、おむすび販売も目指し、2年目はお米を無農薬で作ったということです。これは2年で終わったのですか?
柏木)そうなのです、いくつか理由がありまして。私は人に会うのがすごく好きで、新聞記者をやっていたときは毎日いろいろな方にお会いしていました。ところが、田んぼでお米を作っていると、丸1日隣のおばちゃんとしか喋らない日々が続いたりして、ちょっと辛いなあということが1つ。もう1つは、お米を作っていても、食べてくれる人がいないと売れない。ではどうすれば食べてもらえるのかを考えました。私は取材して記事を書いて、発信するという新聞記者の仕事を8年やりました。自分のやるべきことはその経験を生かして、農家さんに作っていただくお米を食べる人を増やすことではないかと考えたのです。それを考えたのが、ちょうど収穫が終わった頃だったので、いまが潮時かなと思って帰って来ました。
黒木)まず、何からやられたのですか?
柏木)とにかく、ジャンルに関係なくライターの仕事をしました。特に、農業と食に関することなら何でもやりました。次第にだんだんお米のお仕事をいただけるようになって、いまでは“お米ライター”と言っていますが、怒られないかなという感じになりました。
黒木)お米をみなさんに食べていただくために、どういうところを発信して行かれたのですか?
柏木)よく皆さん、どのお米がいちばん美味しいかということを聞かれますが、コシヒカリもひとめぼれも生産者によって全部違う味なのです。突き詰めると同じ生産者で同じ品種を作っていても、田んぼによって味が違いますので、何品種、何種類と言われても答えられないです。静岡県の「安藤米店」という有名な米屋さんを取材したときに、そこの方がおっしゃっていましたが、「どの米が美味しいか」という質問は、「どの画家がいちばん絵が上手いか」という質問と同じだと言われて、「なるほどな」と思いました。感じ方は人それぞれなので、好きな画家はみなさん違って当たり前ですし。この画家がナンバーワンだというものが無いのと同じで、お米にナンバーワンはないのです。
黒木)なるほど。そうすると消費者の方にお米をたくさん食べていただくために、何から発信して行くのですか?
柏木)おかずによって、また食べるシーンによって品種を変えることを提案しているお米屋さんもいます。例えばおにぎりだったらこの品種、朝ちょっと食欲がないときは、この品種ならば重たくないとか。
黒木)お酒みたいですね(笑)。
柏木)まさにそうだと思います。食べるシーンとか、季節、夏の暑い時期だったらもっと軽やかな方が良いとか。
黒木)でも普通、お米って家には1種類、あってもせいぜい2種類ぐらいしか置いていないじゃないですか。
柏木)そうなのですよね。せめて3種類くらい置いて、お米をもっと遊んで欲しいなと思っています。そのために何を提案したら良いのかを常に考えています。
柏木智帆/お米ライター■元神奈川新聞記者。お米やお米文化を取材するうち、お米の魅力にハマり、米をつくるために8年勤めた新聞社を退職。
■千葉県の営農組合に転職し、無農薬栽培での米作りを開始。
自分で作った米を食べてもらうために、中古のワゴン車を購入してキッチンカーに改造。
東京と千葉でケータリングの「おむすび屋」を運営。
■2年間の米作りのあと、2014年・秋から田んぼを離れてフリーランスのライターに。
東京に拠点を移し、「お米を中心とした日本の食文化の再興」と「お米の消費アップ」をライフワークに活動。お米の魅力や可能性を追究し続けている。
■また嫁ぎ先は「つちや農園」。お米がメインの農家。ササシグレ、亀の尾がおすすめ。
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