新聞記者がなぜ退社して農家となり、おむすびを売ることになったのか?

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お米ライターの柏木智帆が、黒木瞳がパーソナリティの番組「あさナビ」(ニッポン放送)に出演。勤めていた新聞社を退社し、お米ライターになるまでの経緯を語った。

新聞記者がなぜ退社して農家となり、おむすびを売ることになったのか?
黒木)今週のゲストはお米ライターの柏木智帆さんです。お米とお米文化の普及拡大を目指して活動するお米ライターということですが、お米に関するものを、いろいろ書いているのですか?

柏木)お米に関して、農家さんだけでなく、お米屋さんや飲食店でご飯を炊く人、おむすび屋さんや稲に詳しい農学者に取材したり、昔の品種を調べたり。お米に関するいろいろなことを取材して、記事にして発信しています。

黒木)どのような場所で発信しているのですか?

柏木)基本にはインターネットのサイトです。ときには雑誌もやります。
最初からお米ライターになろうと思って新聞社を辞めたわけではありません。ずっと報道部で働いていて、最後に経済部で農業を担当したのです。農水省の記者クラブに加盟していない新聞社でしたが、無理を言って加盟させていただき、取材しました。だけど、現場を取材しているうちに「農業未経験の職員の方が大事な政策を決めている」という部分に違和感を覚えました。そのとき、「自分も農業をやっていないのに記事を書いている」と思って、自分としては納得いきませんでした。「担い手が減っていて後継者不足と言われているのなら、自分が現場に立とう!」と思って新聞社を辞めて、ご縁があった営農組合に転職しました。農家の方たちが組合を作って、みんなでお米を作っています。千葉県にありました。

黒木)いまも、その組合に?

柏木)いいえ。そこで1年間、種まきから出荷まで学ばせていただきましたが、私は無農薬栽培をやってみたいと思い、営農組合から4.5反(約45アール)を借りて、機械がないから全部手作業で田植えや稲刈りをやって、草取りも全部やりました。2年目はそれにシフトしました。
ただ、せっかく頑張って作っても、お米を家で炊飯する人が減っていて、お米を売るのが難しいのです。スーパーで安くお米を売っていますが、無農薬で小規模の田んぼでは、そんな値段で売ったら食べていけない。再生産可能な価格を付けると、なかなか買ってもらえない。そういう現状がありました。
一方、おむすび屋さんが東京の方で販売量が伸びていた。みんな、おむすびは買うと聞いて、「ご飯が嫌いじゃなくて、炊くのが面倒なだけなのかな」という思いと、お米は炊き方1つで台無しにも美味しくもなるから、自分で美味しい炊き方を研究して、みなさんに美味しいお米を届けたいと思ったのです。

黒木)すべてをご自分でやっていらっしゃるのですか?

柏木)やっていました。まずはケータリングのおむすび屋さんを、キッチンカーでやっていました。中古で買った軽ワゴン車を、自力でDIYで改良しました。

新聞記者がなぜ退社して農家となり、おむすびを売ることになったのか?
柏木智帆/お米ライター

■元神奈川新聞記者。お米やお米文化を取材するうち、お米の魅力にハマり、米をつくるために8年勤めた新聞社を退職。
■千葉県の営農組合に転職し、無農薬栽培での米作りを開始。
自分で作った米を食べてもらうために、中古のワゴン車を購入してキッチンカーに改造。
東京と千葉でケータリングの「おむすび屋」を運営。
■2年間の米作りのあと、2014年・秋から田んぼを離れてフリーランスのライターに。
東京に拠点を移し、「お米を中心とした日本の食文化の再興」と「お米の消費アップ」をライフワークに活動。お米の魅力や可能性を追究し続けている。
■また嫁ぎ先は「つちや農園」。お米がメインの農家。ササシグレ、亀の尾がおすすめ。

ENEOSプレゼンツ あさナビ
FM93AM1242 ニッポン放送 月-金 6:43-6:49

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毎週月曜〜金曜 6:41 - 6:47

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毎朝、さまざまなジャンルのプロフェッショナルをお迎えして、朝の活力になるお話をうかがっていく「あさナビ」。ナビゲーター:黒木瞳

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