「1年後にお前を社長にする」と言われてつくった崎陽軒の経営理念とは?

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「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月13日放送)にて、崎陽軒の野並直文社長を迎え、崎陽軒の経営理念などについて伺った。

野並社長の代から崎陽軒の「経営理念」がつくられた

飯田)昨日に引き続きまして、崎陽軒の野並直文社長をお迎えいたしました。よろしくお願いします。

野並)よろしくお願いします。

飯田)昨日もお話のなかで少し出て来たと思うのですが、改めて社長にとっての「平成最大のニュース」と言うと?

野並)平成3年に、第3代目の社長に就任したということが、私にとって平成最大のニュースとなります。

飯田)生まれたときから立場を約束されて、いろいろと意識もさせられてここまで来たと。ある意味で想定の範囲内ではありますよね、社長就任というものは。でもやはり、平成最大のニュースになるわけですね?

野並)そうですね。社長になれと言われたのが就任の1年前なのです。親父から呼ばれて、「何を怒られるのかな」と思って行ったら、「1年後にお前を社長にする」と。「この1年間で社長になるための準備をしておけ」と言われまして。でも当時は、専務としてすでに営業を全て見ていましたし、総務関係も役所とか銀行とか、全部私が見ていましたので、実務的には特に準備・用意することもないなと。しかし、何もしないのも能がないなと思って考えたのが、「経営理念をつくる」ということだったのです。
と言うのも、当時は会社としての経営理念がなかったので、どういう目標と言うか、どっちへ向かって会社は進んで行くのだ、というものがなかったのです。これを経営理念で表現しようということで、一生懸命本を読んだりセミナーに通ったりして勉強し、社長になると同時に発表したのです。


「真にローカルなものがインターナショナルになり得る」

飯田)経営理念の1つ目、「崎陽軒はナショナルブランドをめざしません。真に優れた『ローカルブランド』をめざします」。これがまず1つ目に書いてありますね。これは横浜ということですよね? 地元をまず大事にすると。

野並)はい。まだ私が専務の頃、親父から「崎陽軒の今後の展開として、シウマイのナショナルブランドを目指すべきか、あるいは地元を中心にして食品サービス産業のようなものを目指すべきか、お前はどっちが良いと思う?」と問いかけられたのです。そのときは何も考えていなかったので、「どっちなのかなあ」と思って、ずっとそのことを考えていました。そんなとき、たまたま大分県に、当時平松さんという知事の方がいらっしゃって。この平松知事が、「一村一品運動」という、町おこし・村おこしの運動を提唱されていた。
この「一村一品運動」の理念が、「真にローカルなものがインターナショナルになり得る」ということなのですね。その典型的な例が「アルゼンチンタンゴである」と。あれはブエノスアイレスの片田舎の民族舞踊でしかなかったけれども、音楽性に優れているから、いまや世界中の人たちが楽しむ音楽になったのだ、というお話を聞いて、「これだ!」と思いました。それで、「崎陽軒はローカルだ」と。真にローカルで行こう、と決めたのですね。

飯田)なるほど。横浜を中心としたところに売店もたくさんありますし、一方で、東京駅にバーみたいなものを出しましたよね?

野並)シウマイBAR(バル)(笑)。

飯田)「新幹線の時間までちょっとあるな」というときに、あそこはちょうどいいですね。

野並)そうですね。ちょうどまだ出発時間まで多少あるから、ちょい飲みして行こうか、シウマイとビールで…というコンセプトで作った店なのです。


シウマイをお酒と一緒に楽しめる「シウマイBAR(バル)」

飯田)いままではお弁当とセットでとか、パックでと言っていたシウマイが、こういう商売もあるのだな、と思って。あれを決断するのはけっこう大変だったのではないですか?

野並)そんなに大げさなものではなかったのですがね。これだけシウマイファンが多いこと、ビールに合うこと、それから東京駅で新幹線を使うお客様が多いことを考えると、「これはいけるのではないかな」と、ある程度の自信はありました。

飯田)個人的には筍(シウマイ弁当の筍煮)が単体でも食べられるところが、ニーズを掴んでいる感じがするなあと。個人的にあれが大好きなので。

野並)けっこうあの筍のファンは多いですね。

飯田)多いですか、やっぱり。

野並)あれはダシを使っていないのです。

飯田)えっ、使っていないのですか? 知らなかった!


一般家庭では絶対に出ない「筍煮」の味

野並)何千人ぶんの大量の筍をいっぺんに煮るのですよ。そうすると筍同士で味が出ちゃうのです。

飯田)あのダシの味を感じるのは、筍の味なのですね。

野並)そうなのです。

飯田)知らなかった。やはりあんこなどと同じで、大量に作ることで新たな美味しさが出るところがあるのですか?

野並)まさにそうですね。煮物などはたくさん作れば作るほど美味しくなりますしね。だから同じレシピで、家庭で2~3人前を作っても、絶対にあの味は出ないです。

飯田)あれはプロじゃなきゃ。

野並)大量に作らないと。

飯田)なるほど。いろいろな発見がありました。
昨日ときょうは、崎陽軒の野並直文社長にお話を伺いました。野並社長、どうもありがとうございました。

野並)どうもありがとうございました。

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