非常食の意外な“効用” 【みんなの防災】
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「報道部畑中デスクの独り言」(第120回)では、ニッポン放送報道部畑中デスクが、防災用の非常食について解説する。
東日本大震災から8年、阪神・淡路大震災から24年。まもなく新しい元号が判明します。平成の時代は多くの大災害が起きました。特に近年は毎年のように、日本のどこかで地震や豪雨災害が起きています。災害と戦うと言うよりも、災害といかに付き合って行くべきか…そう考える時代になっているのかもしれません。
そうしたなか、いざというときの防災グッズはもはや必需品です。備えは万全でしょうか? 一方、備蓄している非常食にも賞味期限があります。ただ備蓄しているだけでなく、「棚卸し」と言いますか、古いものを更新することも必要です。
かく言う我が家でも先日、リュックサックに入った缶詰やブロック状の栄養食、アルファ米などをチェックしました。賞味期限ギリギリのものは当然、その都度食して行くわけです。驚いたのはその味、期限ギリギリなので味もそれなりと思いがちですが、こと缶詰に関してはこれに当てはまらないものもあるのです。
例えば最近人気のサバ缶。普段も大好きで、食卓の強い味方ですが、実は買ったばかりのものより、しばらく寝かせたものの方がおいしいと言います。これについては多くのサイトでも指摘されています。専門家によりますと、缶詰の中身というものは、全体に味がなじむまでに半年はかかるそうです。そして時間が経過するとともに味は丸く、まろやかになるのだとか。さらに缶のなかのタレに含まれる塩分で浸透圧が働くため、時間が経つと、水分が抜けて身が締まるのだそうです。
と言うことで、実際に賞味期限ギリギリのサバのみそ煮の缶詰を食しました。さて専門家の指摘は本当なのか? その味は…。
「おお、しみてる―――」
味覚というのは人それぞれ、あくまでも個人の感想ですが、なるほどサバの身の内と外全体にタレが行き届いている感じ…一段とおいしくいただきました。新たな発見がそこにありました。
一方、最近、お湯をかけるだけですぐに温かい食事ができるフリーズドライ食品の進化も目を見張るものがあります。味噌汁やスープなどの定番のほかに、カツカレーや親子丼、水でもどるサラダなどなど、本格的なグルメのようなメニューも見られます。テレビ番組で紹介されたこともあって、なかにはなかなか手に入りにくいものもあるようです。
私もビーフシチューを試しに食しましたが、なかなかの味でした。もちろん食すにはお湯が必要になるわけですが、簡単に食べられるこれらの食品は非常食のレパートリーを大きく広げそうです。更新の際に新たに加えるのもいいかもしれません。なお、フリーズドライの保存時間については、一般に缶詰などに比べると短めで、商品の種類によってばらつきもあります。そのあたりの確認は怠りなく。
「災害は忘れたころにやって来る」と言うように、防災グッズもついついチェックを怠りがちになります。すべての非常食に当てはまるわけではありませんが、「寝かせることでよりおいしくなる」「お湯をかけるだけでおいしく食べられる」…そんな食料の存在は「楽しい防災対策」に一役買うかもしれません。さらに、非常食を食することで災害に対する意識も新たにすることができるのではないでしょうか。(了)