新たに就任したスティルウェル米国務次官補とはどんな人物か
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月12日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。新たに就任したデビッド・スティルウェル国務次官補について解説した。
新たなアメリカ国務次官補デビッド・スティルウェル氏が来日
アメリカ国務省で東アジア・太平洋を担当する国務次官補に就任したデビッド・スティルウェル氏が11日に来日した。スティルウェル氏は青森県のアメリカ軍三沢基地で勤務した経験があることを自ら紹介し、日本に戻って来られたことを本当にうれしく思うと語っている。スティルウェル次官補は日本に14日まで滞在し、その後韓国やフィリピンなどを歴訪し、各国高官と協議を重ねる予定である。
新行)まず宮家さんに伺いたいのですが、この国務次官補とはどういう役職になるのでしょうか?
宮家)国務長官の下に国務副長官がいる。日本では外務副大臣です。その次に国務次官がいるのですね。これが日本の外務事務次官に相当する。日本ではその次は局長なのですけれど、向こうは局長という言葉を使わない。実質的には次官の次、ということですから、それで次官補と言っているのです。つまり、この人はアジア太平洋局長だと考えてくださればけっこうです。問題は、普通ならアジア太平洋の次官補というポストは、最近あまりいないけれど国務省のたたき上げで上がって来るケース、または外部からの政治任用でアジア専門家を呼んで来ることが多いのです。ところが、このスティウェルさんはある意味、非常にユニークです、軍人ですからね。しかも空軍出身で、どちらかと言うと、語学にも堪能な、中国の武官もやっている官僚肌です。外交が分かる、ファイター型というよりは参謀型の、おそらく立派な人なのでしょう。
2年間の空白の後に就任
宮家)ただこの2年間、東アジア太平洋次官補のポストは空席だった。次官補代理というポストがありますが、これは次官補の下の、日本の役所で言えば局長の下にいる審議官、参事官です。そのレベルの人が次官補が2年間も空席だったから、次官補の代行をしていたのです。2年間探したけれど、なり手がいなかったのでしょう。発足当時はトランプ政権で仕事をしたくない人もたくさんいたのです。それで最後に彼に白羽の矢が立ったということなのでしょう。人材としてはもちろん立派な人だと思います。本来なるべきという感じの人では必ずしもないのですけれど、色々探してみたらこの人が適任だったということでしょう。実は昨11日、成田空港に向かっていたら、アメリカの外交団の車が2台続けて向かっていたのですよ。これは誰か迎えに行くなと思ったら、それがこの人だった。そういう意味では本チャンの担当局長さんがやっと日本に来てくれたということです。しかも最初に日本に来たということで、それ自体は大変けっこうなことなのです。けれども、いままでが東アジア太平洋担当次官補のポストがあまりにも空白だったから仕方ないかな、ようやくポストが埋まってよかったなというのが率直な印象です。
新行)今回、どんなことが話し合われると予測されますか?
宮家)たくさんありますけれど、やはりいちばん大きいのは戦略的な部分です。これまで次官補がいなくて国務省としっかりした議論ができなかったわけだから、中国をどのように見るのか、中国の台頭と、この地域の平和と安全を守るため日米で何ができるのかということを改めて議論し、確認する。その上で北朝鮮の問題、南シナ海の問題、尖閣を含む東シナ海の問題などについて意見交換するだけでも、話すことはたくさんありますよ。
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