あけの語りびと

マイクロプラスチック問題~2050年には魚と海洋ごみが同じ重量に

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マイクロプラスチック問題~2050年には魚と海洋ごみが同じ重量に

それぞれの朝は、それぞれの物語を連れてやってきます。

マイクロプラスチック問題~2050年には魚と海洋ごみが同じ重量に

G20大阪サミット・IMC(国際メディアセンター)。利用が始まったIMC(国際メディアセンター)=2019年6月27日午前11時38分、大阪市住之江区 写真提供:産経新聞社

7月15日は「海の日」で三連休…。みなさん、どんなプランを練っていらっしゃるでしょうか? せっかくの「海の日」なので、海のことをちょっと考えてみませんか?

いま大きな問題となっているのが、プラスチックごみの海洋汚染。先日、大阪で開かれたG20サミットの主要テーマの1つにも、「海洋プラスチックごみ対策」が上がっていました。そして採択した首脳宣言のなかには、こんな文言が組み込まれました。

「新たな汚染を2050年までにゼロにすることを目指す『大阪ブルー・オーシャン・ビジョン』を共有する」

また、安倍総理は発展途上国が廃棄物管理の能力を高められるよう、日本政府として2025年までに1万人の人材を育成する方針を表明。しかし、これでめでたし…というわけには行かないのです。

マイクロプラスチック問題~2050年には魚と海洋ごみが同じ重量に

『環境破壊図鑑 ぼくたちがつくる地球の未来』著:藤原 幸一(※画像はAmazonより)

世界各地で野生動物を撮影して動物たちの危機的状況を訴えている、生きもの写真家で作家の藤原幸一さんは、こんなふうに指摘します。

「2050年までにゼロというのは遅い! いまのペースで試算すると、2050年には生きている魚と海洋ごみの重量が同じになってしまうんです!」

これでは、魚を守るどころの話ではないことがよく分かります。

藤原さんが地球の汚染問題に着目したのは、1990年。南極のとある国の基地に滞在していたときのことでした。当時の南極は温暖化が問題となり、あちこちが溶け始めていたのですが、その下から出て来たものは各基地が雪の下に埋めて帰った生活ごみ! ペンギンたちが50年前のごみを食べていた! このとき、藤原さんの心は大きく動いたと言います。

「私は、動物たちの代弁者として、この危機的状況を訴えて行かなければならない」

マイクロプラスチック問題~2050年には魚と海洋ごみが同じ重量に

『ペンギンかぞくとおそろしい山』著:藤原 幸一(※画像はAmazonより)

それから藤原さんは、世界各地でいろいろな動物たちの写真を撮り、写真集として出版して来ました。藤原幸一さんの写真集のタイトルを、いくつかピックアップしてみましょう。

『ペンギンかぞくとおそろしい山』『はらぺこゾウのうんち』『海が泣いている』『森が泣いている』『このままで生き残れるの? 世界の絶滅危機動物大研究』『ガラパゴスがこわれる』『環境破壊図鑑 ぼくたちがつくる地球の未来』

どの写真集からも、プラスチックごみを食べる動物たちの無言の悲鳴が伝わって来ます。

この5月には写真絵本『プラスチック惑星・地球』を、ポプラ社から出版。インドネシアのカニクイザルの親子が森から川、そして海へとエサを求める旅を、写真で追い続けてます。海のなかで子ザルがクラゲだと思って手を出したものは、海中を浮遊するレジ袋だった~というようにストーリーは展開して行きます。

マイクロプラスチック問題~2050年には魚と海洋ごみが同じ重量に

『プラスチック惑星・地球 (シリーズ 自然 いのち ひと)』著:藤原 幸一

プラスチックは、熱が加えられたり太陽の光があたったりするともろく、砕けやすくなります。しかし、プラスチックはいくら小さくなっても分解して無くなることはありません。直系1ミリ程度のつぶつぶ、マイクロプラスチックとなって、いつまでも海のなかを漂い続けます。

多くの魚たちが、それをエサとして食べ続けます。ですから「海は捨てられたプラスチックの袋小路」と表現する研究者もいます。

この現状を何とかしようと、様々な取り組みが始まっています。たとえばサンフランシスコ市は、2019年7月1日から市内にある全ての飲食店で「プラスチックストロー」の提供を禁止。代替品として紙のストローの提供も原則禁止。ガラスやシリコン製など、再利用可能なストローのみ使用を認めます。違反した場合、100ドルからの罰金が課されるという厳しさです。

マイクロプラスチック問題~2050年には魚と海洋ごみが同じ重量に
日本がこれまで比較的、悠長に構えて来れたのは中国が有料でプラスチックごみを引き取ってくれたからです。けれども中国政府は去年(2018年)1月をもって、プラスチックごみ輸入の原則禁止に踏み切りました。そこで日本でもようやくレジ袋の有料化、プラスチックストローの廃止、紙袋への切り替えといった動きが出て来ました。

しかし、藤原さんはここでも首をかしげます。

「レジ袋有料化と言っても、買い物客が下げているエコバックの多くは、プラスチックと同じ石油製品でしょう。紙袋に切り替えたら、ふたたび森林伐採の問題が起きて来るでしょう」

マイクロプラスチック問題~2050年には魚と海洋ごみが同じ重量に
もはや1歩も引けない深刻な状況に追い込まれてしまっていることを、私たち1人1人が強く認識しなければならないようです。

藤原さんは、これまでに撮りためた写真や動画を公開しています。『ネイチャーズ・プラネット』で検索して、世界の動物たちの悲しい訴えに向き合ってみてはいかがでしょうか?

上柳昌彦 あさぼらけ
FM93AM1242ニッポン放送 月曜 5:00-6:00 火-金 4:30-6:00

朗読BGM作曲・演奏 森丘ヒロキ

番組情報

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月曜 5:00-6:00 火-金曜 4:30-6:00

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眠い朝、辛い朝、元気な朝、、、、それぞれの気持ちをもって朝を迎える皆さん一人一人に その日一日を10%前向きになってもらえるように心がけているトークラジオ

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