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漫画『コミック新宿史』~ナウマンゾウも存在した新宿の歴史とは?

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漫画『コミック新宿史』~ナウマンゾウも存在した新宿の歴史とは?

それぞれの朝は、それぞれの物語を連れてやってきます。

漫画『コミック新宿史』~ナウマンゾウも存在した新宿の歴史とは?

新宿区立 新宿歴史博物館

新宿区立「新宿歴史博物館」をご存知でしょうか。四谷駅と四谷三丁目のほぼ真ん中、新宿通りから少し奥に入った閑静な住宅街のなかにあります。

常設展示室に入ると、旧石器時代の新宿から見ることができます。そのころの新宿は見渡す限りの草原で、何とナウマンゾウを追って旧石器人が狩りをしていたそうです。新宿区内から、ナウマンゾウの歯や石器が発掘されているのですね。

新宿がにぎわうようになるのは江戸時代、甲州街道の宿場町「内藤新宿」ができてからです。展示室には当時の宿場町を再現したジオラマや、江戸時代の商家、昭和初期の文化住宅、新宿駅前を走っていた路面電車、ロマンスカーの運転席などがあり、旧石器時代から現代までの新宿の歴史をたどることができます。

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『コミック新宿史 新宿ジオラマ奇譚』作者で、デザイナーでもある 井口たくみ さん

ミュージアムショップで目を引くものが売っていました。『コミック新宿史 新宿ジオラマ奇譚』…新宿の歴史を面白く描いた「漫画本」です。

作者は、ここの職員でデザイナーの井口たくみさん、56歳。井口さんは新宿の下落合に生まれ、いまも新宿にお住まいです。子供の頃から漫画が大好きで、手塚治虫さんの漫画本をむさぼり読む少年でした。

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井口さんは新宿に生まれ、現在もお住まいとのこと

井口さんは26歳のとき、パリで暮らしていたこともありました。
「漫画と言えば日本が先進国だと思うかもしれませんが、フランスやベルギーを中心にした『バンド・デシネ』という素晴らしい漫画文化があって、『タンタンの冒険』はその代表的な漫画です。芸術的なセンスもあるバンド・デシネの影響を受けた日本の漫画家もかなり多いんですよ」

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常設展示は建造物から石器までさまざま

漫画家志望だった井口さんは、フリーのイラストレーターや、SFやハードボイルドの小説を書いていた時期もあったそうです。現在は新宿歴史博物館のデザイナーとして、ポスターやチラシ、ミュージアムグッズのデザインを手がけています。

「新宿歴史博物館が開館して、今年で30周年を迎えるんです。それに合わせて、中学生から高齢者の方まで読んで楽しめるミュージアムグッズを作ってみたいと、企画書を作りプレゼンしたところ、意外にもすんなり通っちゃったんですよ」

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江戸時代の内藤新宿を模したジオラマ

単なるマンガの歴史本にはしたくなかったと言う井口さん。『コミック新宿史』は、構想から2年かけて完成しました。この博物館は江戸時代、伊賀忍者の屋敷だったことから、漫画の主人公は忍者の末裔「未来創丸(みらい・つくまる)」という学芸員。自分が作ったジオラマのなかへ夜ごとタイムスリップして、歴史上の人物に会いに行くという、SFとハードボイルドタッチで味付けされた不思議な物語です。

第1章は、アングラ文化全盛の1960年代……新宿のバーで寺山修司と赤塚不二夫が酒を酌み交わし、三島由紀夫を始め、新宿に関わりのある文化人が次々と登場します。江戸時代に入ると、平賀源内、曲亭馬琴、葛飾北斎、坂本龍馬、近藤勇、土方歳三など興味深い人物が次々と登場します。

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新宿のうつりかわりをまとめた写真

新宿はいつの時代もカウンターカルチャー。時代に抵抗する文化が花開いた街を描きたかったと言う井口さん。

「新宿は日本の未来を見ることができる街だと思うんです。外国人が多く住み、昭和の香りが漂い、新しい文化と古い文化が混在し渦巻いていて、好き嫌いがはっきり分かれる街だけれど、そこが魅力なんです」

6月1日から『新宿風景』という写真展が開かれて、そのポスターも井口さんが手がけました。
「ここは、記憶のなかの新宿にタイムスリップできる博物館です。あなただけの新宿がきっと見つかるはずです……」

漫画『コミック新宿史』~ナウマンゾウも存在した新宿の歴史とは?

新宿駅前のチンチン電車の展示

『コミック新宿史 新宿ジオラマ奇譚』は、税込み1000円。井口たくみさんが描いたマンガの他に、各章ごとに学芸員の解説も付いていて、読み物としても楽しめます。また6月1日から開催の『写真展 新宿風景』では、明治、大正、昭和、平成と大きく変貌を遂げる新宿を、新宿歴史博物館が所蔵する写真で見ることができます。

漫画『コミック新宿史』~ナウマンゾウも存在した新宿の歴史とは?

『コミック新宿史 新宿ジオラマ奇譚』
価格:1000円(税込)
製作・デザイン:井口たくみ
※新宿歴史博物館、漱石山房記念館、新宿コズミックセンターなど区立施設で販売中

新宿区立「新宿歴史博物館」
休館日:第2・4月曜日(祝日の場合は翌日)
観覧料:常設展示 一般300円、小・中学生100円
所在地:東京都新宿区四谷三栄町12-16
電話:03-3359-2131
開館時間:9:30~17:30(入館は17:00まで)
https://www.regasu-shinjuku.or.jp/rekihaku/

漫画『コミック新宿史』~ナウマンゾウも存在した新宿の歴史とは?
写真展『新宿風景〜一枚の写真 そして未来へ』
開催:6月1日(土)〜8月25日(日)
休館日:6/10(月)・24(月)、7/8(月)・22(月)、8/13(火)
観覧料:無料

※公益財団法人「新宿未来創造財団」は、「漱石山房記念館」「林芙美子記念館」「佐伯祐三アトリエ記念館」「中村彝アトリエ記念館」も管理運営しています。

上柳昌彦 あさぼらけ
FM93AM1242ニッポン放送 月曜 5:00-6:00 火-金 4:30-6:00

朗読BGM作曲・演奏 森丘ヒロキ

番組情報

上柳昌彦 あさぼらけ

月曜 5:00-6:00 火-金曜 4:30-6:00

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眠い朝、辛い朝、元気な朝、、、、それぞれの気持ちをもって朝を迎える皆さん一人一人に その日一日を10%前向きになってもらえるように心がけているトークラジオ

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