ポケモン映画が20年の時を超えて、世界に発信するもの
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【しゃベルシネマ by 八雲ふみね 第656回】
さぁ、開演のベルが鳴りました。支配人の八雲ふみねです。シネマアナリストの八雲ふみねが観ると誰かにしゃベりたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。
今回は、大ヒット公開中の『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』を掘り起こします。
伝説のポケモン映画シリーズ第1作をフル3DCGで完全リメイク!
1998年に公開されたポケモン映画シリーズ第1作『劇場版ポケットモンスター/ミュウツーの逆襲』。人間の手によって生み出されたミュウツーが心に抱える“葛藤”や、自分をこの世に生み出した人間への“逆襲”という、およそファミリー向けではない重いテーマを掲げた作品だったにも関わらず、公開されるやいなや、アニメーション映画としてはそのときの年間興行収入ランキング1位に輝き、記録的な大ヒットとなりました。
さらに世界各国でも封切られ、ことに全米で公開された日本映画のなかで歴代興行収入1位の記録をいまだに保持するなど、ポケモン映画シリーズのなかでも伝説的な作品となっています。
そんな「POKEMON」の名を世界に轟かせた伝説の映画が、今度はフル3DCGとなって現在大ヒット公開中です。
すべてのポケモンのはじまりと言われ、「清らかな心と、会いたいと強く願う気持ち」の2つを持つ冒険者の前にだけ現れる、幻のポケモン・ミュウ。世界中のポケモン研究者が行方を追うなか、ついに1人の科学者がミュウの化石を発見。それを元に、神をも恐れぬ禁断の行為に手を染めてしまう。
最強のポケモンを作りたいという人間のエゴによって生まれた伝説のポケモン、ミュウツー。最強兵器としてしての実験が繰り返されるなか、やがてミュウツーは自身の存在意義も分からぬまま、自分を生み出した人間に憎悪の念を宿して行く…。
ストーリーはオリジナルに忠実に、最新のVFX技術を駆使して新たな世界観を構築した本作。映像のクオリティの高さもさることながら、“自分は何者なのか”という自己の存在理由の探求という本作のテーマもしっかりと浮き彫りになっており、オリジナル版から変化した部分や変わらないものも含めて、改めてポケモンの“原点”に触れることができる作品となっています。
『名探偵ピカチュウ』がハリウッドで製作されるなど、時代とともに変化し、その知名度が確実に広がっている「ポケモン」ワールド。「ポケモンGO」ブームがまだまだ加熱するなか、今度は“睡眠”をエンタテインメント化した「Pokemon Sleep(ポケモンスリープ)」なるゲームの開発まで発表され、さらなる飛躍を続けています。
ポケットモンスターを「子ども向けの商品」と捉えるのは、過去の話。いまや、国を超え世代を超えて受け入れられるエンタテインメントに成長したコンテンツと言えるでしょう。
ポケモン映画第1作の公開から21年。本作からは「ポケットモンスター」に賭ける日本のクリエイターたちの情熱と信念さえも感じられます。
『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』
全国東宝系にて大ヒット公開中
原案:田尻 智
監督:湯山邦彦・榊原幹典
脚本:首藤剛志
主題歌:小林幸子&中川翔子「風といっしょに」(ソニー・ミュージックレコーズ)
声の出演:松本梨香、大谷育江、林原めぐみ、三木眞一郎、犬山イヌコ
ナレーション/石塚運昇
特別出演/市村正親 小林幸子 山寺宏一
(C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku
(C)Pokemon (C)2019 ピカチュウプロジェクト
公式サイト https://www.pokemon-movie.jp/
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/