禁断のデザート、それは……
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「報道部畑中デスクの独り言」(第311回)
ニッポン放送報道部畑中デスクのニュースコラム。今回は、禁断のデザート「パフェ」について---
新年おめでとうございます。新年1回目は毎年「スイーツ」の話でスタートさせていただいているわけですが……。今回は禁断のデザート、「パフェ」の話です。
パフェはフランスが発祥、「パルフェ=parfait」が語源です。英語で言えば「パーフェクト」……完全なデザートという意味になります。まさにデザートの最高峰。
余談ですが、以前、自宅近くのカフェで「パーフェクト・パフェ」なるメニューもあったことを思い出します。頂点にプチ・シューがのる美しいパフェでしたが、店主は語源を理解していたのでしょうか。あるいは「完全中の完全」という自信からくるものだったのでしょうか。この店舗は、いまは閉店しています。
一方、これによく似たデザートに「サンデー=Sundae」があります。これはアメリカ発祥ですが、語源については諸説あります。「アイスクリームショップで毎週日曜日に売られていた」という説や、一方で「キリスト教では大切な安息日である日曜日に、リッチなパフェより質素なサンデーを食することが由来」とも言われています。しかし、近年はその境界があいまいになっています。
ちなみに広辞苑(岩波書店)によれば、パフェとは「アイスクリームと種々の果物・シロップ・生クリームなどを細長いグラスに盛ったもの」。サンデーは「アイスクリーム・サンデー」が正式名称とされていて、「アイスクリームに、チョコレートや果物のソースなどをかけたもの。泡立てた生クリームを絞り出して飾る」とあります。いずれにしても、食材としてアイスクリームは必須のようです。
小生はフランスには行ったことがないので、本場のパフェというものを食べたことはありません。また、最近のパフェはパティシエが腕によりをかけたおしゃれで美しいものも多いですが、私が好きなのは、街の喫茶店にある昔ながらのパフェ。
特に、子どものころのチョコレートパフェはアイスクリーム、ホイップクリーム、チョコレートソース。果物はバナナに、あくまでも「缶詰」のミカンやパイン。なぜか頂点にサクランボが“君臨”するというものでした。チョコビスケットがアクセントにあるともう最高です。当時はめったなことでは食べられず、お出かけのような特別な日に、おねだりしてようやくありつけるものでした。
食すると、子どものころのあこがれとともに、優しい味がよみがえってきます。そして、レトロなソファなどの調度品のなかで、ゆっくりとした時間に浸る……改めてチェーン店やいまどきのカフェでは得られない贅沢さだと思います。
ただ、昔は子供心にそんな贅沢がなかなか許されなかったのですが、現代は別の意味でありつけなくなりました。こうしたレトロな喫茶店がめっきり少なくなったのです。確たる統計はありませんが、先日、東京・世田谷区の喫茶店をインターネットで調べて足を運んだところ、閉店の張り紙が。9月末で閉店ということで、ネットの情報も追いつかなかったようです。
調べてみると、こうした閉店は結構あります。店主の高齢化、地域の再開発による閉店など、事情はさまざまですが、喫煙人口の減少も何らかの影響を受けていると思われます。かつての喫茶店は喫煙とセットでしたが、最近は禁煙や分煙の店舗も増えてきました。そして、最近は新型コロナウイルス感染症の影響もあり、こうした零細店舗がなかなか生き残れなくなっているようです。
思えばカレーにしろ、ラーメンにしろ、海外からの料理をあらゆる手法で日本流にアレンジし、立派な食文化として定着しています。レトロな喫茶店や昭和のパフェも、日本が生んだ文化だと思うのは小生だけでしょうか。食材もアイスクリームだけでなく、ソフトクリームを使用しているもの、コーンフレークを敷いているものと、意外に多彩で、その盛り付けはデザート界の「生け花」のようです。パフェグラスにそびえるその姿を見て、幸せな気分にならない人はいないでしょう。
寄る年波もあり、血糖値に気をつけながらではありますが、いまや貴重であるレトロな喫茶店の「パフェ探訪」を続けたいと思っています。本年も当コラム「報道部畑中デスクの独り言」をよろしくお願いいたします。(了)
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