「憲法改正」と「消費増税」に関する総理と周辺との“意識の落差”

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月23日放送)にジャーナリストの有本香が出演。安倍総理が与野党に憲法改正の議論を進めるよう呼びかけたニュースについて解説した。

「憲法改正」と「消費増税」に関する総理と周辺との“意識の落差”

【政治 安倍晋三首相会見】会見にのぞむ安倍晋三首相=2019年7月22日午後、東京・永田町の自民党本部 写真提供:産経新聞社

安倍総理が参院選を終え、与野党に対し憲法改正について議論を呼びかける

 

安倍総理)与野党の枠を超えて3分の2の賛同が得られる改正案を練り上げて行きたい。2020年という目標については、いまもその思いに変わりはございません。

 

安倍総理大臣は22日、参議院選挙の与党勝利を受け自民党本部で記者会見を行い、与野党に衆参両院の憲法審査会で、憲法改正の議論を進めるよう呼びかけた。22日の会見では安定した政権基盤のもと、幼児教育無償化などの政策を推進するとともに、10月の消費税率引き上げに伴う景気対策に万全を期す構えを強調。また臨時国会を8月1日に召集して、新しい参院議長などを決めるという考えも示した。

飯田)選挙が終わりました。

「憲法改正」と「消費増税」に関する総理と周辺との“意識の落差”

選挙期間中、憲法改正を積極的に訴えた自民党候補者はいなかった

有本)そうですね。盛り上がらないまま終わった選挙だなという印象があります。いくつかお伝えしたいことがあるのですが、1つはこの憲法改正についてです。総理は当初からおっしゃっていて、特に自民党の候補者についても、憲法について積極的に有権者の皆さんへ訴えるようにということも言っていました。けれど実際には自民党の候補は、もちろん何人かですけれども街頭演説を聞きに行きましたが、言っていないですよね。

飯田)そうですね。

有本)本当に限られた人だけで、この人は言ってもいいのではないかという人でも、いざ選挙となると子育てや介護とか、そちらを言ってしまう。非常に残念だなという印象がありました。結果としては自民党が目標にしていた、与党で過半数ということはクリアしたけれども、「勝利した」とは言えないですよね。自民党も改憲に関しては、積極的かというと少し疑問です。ただ、ここは総理のリーダーシップで、いろいろな形で進めて行くのだろうなと思います。総理はこの選挙を終えると、任期中に決まっている国政選挙はもうないのですよ。「好きなことをやったれ」というモードに入っても不思議はありません。むしろ選挙中から気になったのは、憲法改正をやめてほしいと思っている勢力、そう思っているであろうメディアがやたら憲法改正を気にして、改憲勢力がどうなるのかということを随分と言って来た感があります。これから本格的にこのせめぎ合いが始まって行くのでしょうね。
そのなかで選挙戦、投開票日に近い仲間うちのような感じで、ネットで選挙特番をやりました。前回も今回も、安倍総理が各局の中継に出る前に、我々の番組に電話で出てくださいました。9時くらいでしたので、もうすでに結果は大体見えていました。そのときに、例えば国民民主というように名前を挙げて、いわゆる切り崩しですよ。そのことをはっきり口にされていました。

「憲法改正」と「消費増税」に関する総理と周辺との“意識の落差”

消費増税についての総理の重要な発言

有本)もう1つは消費税に関する話ですが、消費税はこのまま行ってしまうのですねと、けっこうしつこく聞きました。私がと言うよりは、一緒におられた作家の百田尚樹さんや、経済評論家の上念司さんが繰り返し聞いていました。政府がずっと言っている「リーマンショック級の事態が」ということは、いまのところ起きていないけれども、というようなことを聞いたら、総理の方から「そうなのですが、それだけにこだわらず国際情勢をみて、仮に10月に上げた後でも、いままでにない形でいろいろなことが起きた場合はそれに即応して、通常で考えていたこととは違う形も含めて対応したい」ということをおっしゃったのです。これは重要な発言だなと思いました。

飯田)この先の政策オプションを縛るわけにはいかないから、あえてそういう表現をされたのだと思いますけれど、いわゆる景気対策と言うと財政出動になると思いますが、そうではなく。

有本)いや、財政出動というニュアンスだったのですけれどね。でも従来のそういうことだけに縛られず、と言いましたし、「リーマンショック級」という言葉をこちらがわざわざ言ったことに対して、「それだけにとどまらず」とおっしゃっていました。

飯田)従来は、上げた税金を下げることはほとんどないではないですか。

有本)それはまずないですよ。

飯田)でも従来の考えにとらわれずとなると、それすらオプションになる可能性があるということですよね。

有本)財政出動などということも言っていましたけれど、でも少し違うニュアンスだなというようには受け取りましたね。さすがに上げたものを下げるということはないのでしょうけれど、いわゆる「対策の面で考えているところがある」ということかなと。冒頭に取り上げたニュースでも、中東情勢がどうなるか分からないわけですよ。イランはアメリカ人を拘束したり。

飯田)スパイ容疑で。

有本)していますよね。ですから本当に緊迫しているなかで、何が起こるか分からないとなったとき、日本のタンカーが安全を確保されるかということだけではなくて、他の国でもホルムズ海峡の不安というようなことがある。ただちに原油価格に影響する状況が起きるのだから、それらも含めて考えると、本当にいままで言っていた以上のことを、どのくらい手持ちでしているのかと。

飯田)その辺が総理と、他の周りでどこまで整合しているのかというのはね。

有本)そうですね。その辺の落差というものもあるのかもしれません。

「憲法改正」と「消費増税」に関する総理と周辺との“意識の落差”

消費増税に関して、世の中の空気を読めない自民党議員もいる

飯田)特番で与党幹部の人たちに消費税の対策について聞くと、当初予算でポイント還元などをいろいろやっているから、補正はさほど考えていないということを言う人もなかにはいます。

有本)自民党の幹部のなかでも、「この選挙で消費税については概ね有権者に認めていただいた」と言う人もいますが、そんなことないでしょうと。今回、自民党に票を入れた人のなかにも、消費増税については必ずしも支持できないと言っている人は、巷に多いと認識しています。だから、ああいうことを選挙直後に軽軽に言うというのは、世の中の空気をわかっていないなと思いますね。賢明な有権者のほうが、消費税を増税することで景気が冷え込んだら、いろいろな意味で日本にとって大変な事態になるという認識を政治家よりしているということです。

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