中央最低賃金審議会~最低賃金が上がらなければ経済は動かない
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月31日放送)にジャーナリストで東海大学教授の末延吉正が出演。厚生労働省の中央最低賃金審議会の結果を受けて、消費増税が控えた10月と、その後の見通しについて語った。
東京神奈川で最低賃金1000円超え~この結果はウェルカム
最低賃金の引き上げを議論して来た厚生労働省の中央最低賃金審議会は31日、今年度の最低賃金を全国平均で27円引き上げ、時給901円とする目安を示した。今後はこの目安を基準に都道府県ごとに最低賃金が決められる。
飯田)昨日(30日)の午後から続くマラソン会議で、今朝方ようやく終わりました。
末延)前は丸々1日延びた場合もありました。政府が頑張れと言っていますから、当然ですよね。これでは経営側が大変だと中小企業の経営者で言う方もいらっしゃいますが、これから増税もあります。デフレを抜けて行くのは、給料が上がらないのが問題なのです。ここが上がらない限り世の中は明るくならない。東京神奈川が1000円を超えました。平均901円。政府の目標は全国平均で1000円を目指していますから、それくらいまで行かないと、経済全体は動かないと思います。この結果はウェルカムではないですか。
飯田)まさに経営側の主張と労働側の主張がぶつかるところで、均衡点をどこに置くか探って行く必要があります。いきなりガンと上げてしまうと、隣の韓国ではないですけれど、若者が雇用されなくなってしまいます。
時間給で働く労働力が保証されないと経済は膨らまない
末延)韓国の若い人のなかには、日本で就職活動している人もいます。しかも韓国の場合は定年も早いので、年配の人の職がないと困っています。サラリーマンなど普通に働く人の賃金が上がることは大事なのですが、一方でうちの学生を見ていても、生活費の一部をバイトで稼いでいます。時間給で働く人も労働力として考えられているわけですから、ここの部分が保証されないと経済は膨らんで行かないです。そういう意味では、今回の最低賃金審議会の決定は良かったと思っています。
飯田)ここから経済を温めて、個人消費が回って行けばいいですよね。足元の経済で見ますと、この間の経済財政諮問会議の報告書では厳しいかなというところに来ています。
末延)AIや5Gの時代には、そういうものを使ってコストダウンを行いながら、働く人の給与をどうやって上げるか。ここが非常に重要だと思います。そういう循環に入って行かないと成長率が伸びない。アベノミクスでスタートした経済復活の路線も、いまはもう1歩のところで止まっていますよね。何となくみんな自虐の歌ニッポン人で、ダメと書く方がウケやすいから、そういう原稿が多いことも事実だけれど、もう少し勢いを出さないといけない。そういう意味では最低賃金のアップはグッドニュースです。
飯田)ここから始めて、そしてこの先ということになると、消費増税が控えていて、経済的にはややアゲインストの風も吹く。そこで補正予算も含めて、どうやって盛り上げて行くかということになります。
金融も財政もアクセルを踏むべき
末延)先日、安倍総理と電話で話して取材しましたが、10月の増税後について、いろいろな手は打っているけれど、どう反応が出るものなのかと気にしていました。昨日の日銀の政策決定会合もそうですが、本当はもっと深掘りしろという話も出ましたし、予防的措置は取ると踏み込んで言っていましたが、本当は金融も財政もこの際ぐっとアクセルを踏む方が僕はいいと思います。その辺については、安倍さんや菅さんもかなり気にしていることは事実です。
飯田)前回の2014年のときは、まわりがみんな大したことないですよと言いながら、大したことがあったではないかということになっています。
末延)あのときのことはよく覚えています。増税決定前に総理や官房長官にも会いましたが、財務省の説明を受けて本当にそうなのかなという感じを持っていました。そこで、やはりダメなのかということがあったので、本当は心配なのではないですか。そうなれば補正、あるいは大型の予算ということで、いまからかなり準備しているのではないでしょうか。少なくとも心の準備はもう十分できているので、この秋が要ウォッチですよね。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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