EU離脱の延期を求める法案可決~さらに混乱が続くイギリス議会

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月5日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。イギリス下院でEU離脱の延期を求める法案が可決したことについて解説した。

EU離脱の延期を求める法案可決~さらに混乱が続くイギリス議会

英下院、発言、ジョンソン首相、ボリス・ジョンソン=2019(令和元)年9月3日、英ロンドン(ロイター=共同) 写真提供:共同通信社

イギリス下院で離脱延期を求める法案が可決~首相の総選挙前倒し提案は否決

10月末に予定されるEU(ヨーロッパ連合)からの離脱をめぐって、イギリス議会下院で4日夜から、合意なき離脱を阻止する離脱の延期を求める法案の審議が行われていたが、日本時間の5日午前4時ごろ賛成多数で可決された。法案は来年(2020年)1月31日まで3ヵ月の延期を要請するもので、今後は議会上院で審議される。

飯田)上院でも可決されるだろうと言われており、ジョンソン首相はそれに対して10月15日に前倒しで総選挙をやることを提案しましたが、議会の3分の2の賛成が必要となるところ、支持を得られずに否決されました。

鈴木)選挙を本気でやる気だったのか、そうではないのか、駆け引きやブラフで言っていたのか、ジョンソン首相の真意はわかりません。先日、私の友人で専門商社の幹部がイギリスへ行っていたのです。結局EU離脱となったときに、その専門商社もイギリスに拠点を置いているので、このままでいいのかと。ちょっと遅い気もするけれど、そういうことを探りに行ったそうです。政治の部分では混乱が続いているように見えますが、国民は冷めていて、いい加減にしてくれというところを超えて、無関心の人も多くなっている印象を持ったそうです。そういう意味では、意図は別にしても、区切りとして国民投票の意味合いを持たせて総選挙もありなのかという気がしました。イギリスというと、日本がよく「二大政党」と言うときに、イギリスをモデルにした労働党と保守党という二大政党があると言われるけれど、どうも一連のEU離脱をめぐっては両党ともグダグダしていませんか? はっきりしない。けじめをつける意味でも、総選挙は1つの方法だったのではないかと思いますがね。

飯田)今回、野党側が解散となれば、政権交代も可能性としてあるのだから賛成するのではないかと言われていましたが、蓋を開けてみたら労働党はみんな棄権してしまいました。

どこかで強引にけじめをつけることが必要

鈴木)結局やらないわけでしょう。意思表示をまたしないのか、という話になります。選挙もせずに合意なき離脱も否決となると、また混乱は続きます。そうなればみんな、どんどんイギリスから引き揚げてしまいます。経済にもかなり影響が出て来ているし、日本や他の国にも影響して、ろくなことはないのです。何かしらの節目を強引につける方向へ向かうしかないでしょう。いまの首相はよい悪いは別にして、何かしらのけじめをつけることができる人だという評価もあるわけですから。

飯田)いままでだと本当に離脱するのかあやふやでしたが、10月31日までと決めて、そこまでに交渉ができなければハード・ブレグジットでも仕方ないと明言して腹を括ったのですが、議会の方が腹を括れなかったのでしょうか。

鈴木)僕らが外から言っても、通じる話ではないでしょうけれども。

解散権が縛られているイギリス

飯田)日本でも改憲の議論のなかで、解散権を縛るという話が出て来ているではないですか。こうやって見ていると、解散権を縛っているイギリスは、どうにもならなくなってしまっている。

鈴木)解散権は使い方の問題なのですよね。確かに濫用はよくない。だけど、権力維持のためではなくて重要な政策や方向、その国の命運を決めるときの解散は、大義のある解散なのです。為政者がどう使うかが問題であって、それができていれば問題ないのだけれど、日本の場合はそうではないことが多いから、制限しようということになるのでしょう。解散権とは一体何なのかという問題提起がされていますよね。今回はやってもいいと思ったけれど、解散権を縛るということは、それを奪う不自由なものです。とにかくけじめをつけなければいけません。

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