台風15号被害~事後対応はどうするべきだったのか
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月19日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。台風15号による千葉県での被害と事後対応のあり方について解説した。
激甚災害への指定へ向け、森田千葉県知事が安倍総理と面会
大規模な停電が続き、台風15号の影響で大きな被害が出ている千葉県の森田知事が安倍総理大臣と会談し、激甚災害に早期に指定するよう求めた。森田知事は総理の「全力でやっている。いろいろな情報を上げて欲しい」との発言を受け、「非常に前向きな回答をいただいた。指定されると信じている」と答えた。
飯田)9月9日に関東を縦断した台風15号、千葉県の停電は最大で64万戸に上りましたが、いま現在の時点で東京電力のホームページを見てみますと、停電の軒数が3万1000軒となっています。
鈴木)これは、停電で言うと軒数ではないのですよね。どの地域の一帯か、もっと言えばどういうお宅、どういう家族のいる家が停電しているかが問題です。何とかしのげる場合もあるし、1人暮らしの高齢者や、自宅で医療器具などを使っている人、こういう人の停電は全然意味が違うわけですよね。確かに停電軒数は減って来ている。これは当然なのだけれど、まだまだ深刻だと受け取らなければいけません。停電の数が減って来たから安心だということではなくて。
飯田)今回、9日に直撃した台風で、その被害が10日から出て来たけれども、初動の対応はどうだったのか。
鈴木)飯田さんは毎日伝えられているからお感じになっているかもしれないけれど、台風そのものが予測できたのではないかとか、いろいろ言われますが、これはなかなか難しかったと思います。今回は勢いを保ったまま来たので。
飯田)そうですよね、上陸してもなかなか勢力が衰えなかった。
問題は事後の対応~現地にもう1つ政府を置く
鈴木)直前まで海の上でしたからね。だけど、事後の対応は遅い。これは毎回言っていますが、今回は何ができていなかったのか。例えば、政府の対策本部を官邸でやるかやらないのか、ではないのです。極端に言うと、とにかく現地にもう1つ政府を置くということなのですよ。つまり、現地のことは現地でしかわからないのだから、離れたところで会議をしても仕方がない。現地にそれなりの政治任用を、もう1人の総理大臣くらいのつもりで置く。そして霞が関の役所からも、それをフォローする人間を現地に置く。これは現地駐在ですよ。一歩もそこから動かない。それで情報収集をして、いま何が必要かを判断する。
経験のある政治家を送る
鈴木)法律を犯すときもあるのですよ。そんなものは構いません。とにかくいま何が必要かを現地の政府が判断し、それを官邸で安倍さんが「わかった。俺が責任を取るから、それをやろう」となるのが、災害対応の基本なのです。阪神淡路大震災の教訓で、それをするしかないという考え方になりましたが、これができていない。今回は内閣改造と重なっていたから、現地に何大臣を行かせるかの対応が遅れたのではないかという批判があるけれど、それは違うと思っています。関係なく任命して、それなりに経験のある政治家を現地の総理大臣として送ればよいのですが、そういうことができていませんでした。
失敗した東電の情報公開~災害の際の会見では最悪の情報から公開するべき
鈴木)それからもう1つ言いたいのは、東電の会見です。災害のときの情報公開は、最悪の情報から言って行かなければいけません。東日本大震災の原発のときに枝野さんが官房長官でしたが、避難を3キロ、5キロ、10キロとどんどん広げて行ったでしょう。あれでどれだけ混乱し、不安を招いたか。50キロ全部で避難、安全を確認してから40キロ、30キロと、最悪の状況からだんだんと狭めて行く。今回も「明日は大丈夫かもしれません」ではなく、「最悪1ヵ月かかります」としておいて、狭めて行く。この情報公開のあり方も、今回は失敗していると思います。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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