人口減で今後さらに進む「一票の格差」~議論すべきことは何か

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月17日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。選挙における一票の格差について解説した。

7月参院選で一票の格差が最大3・00倍~高松高裁が違憲状態との判決

2019年7月に行われた参議院選挙で一票の格差が最大3・00倍だったため、投票価値の平等に反し憲法違反だとして、2つの弁護士グループが選挙無効を求めていた裁判で16日、高松高等裁判所は違憲状態との判決を下した。なお原告側が求めていた無効請求については認められておらず、近く上告する方針である。

飯田)これは選挙が終わると年中行事のようになっていますが、全国で16件の訴訟が起こっており、今回その最初の判決が出たということです。

鈴木)飯田さんがおっしゃるように、またこの裁判かという感じですね。このような裁判を起こすことで、一票の重みというものを毎回きっちりとチェックする、それはそれで必要なこととも言えるのです。ですが、一票の格差のときに必ず表現で気を付けることがあります。ニュースなどの原稿でも「一票の格差が3倍だった」と、「何倍」という言い方をしますよね。

飯田)そうですね。

鈴木)僕だけかもしれませんが、ピンと来ないのです。「格差が3倍」とはどういうことかなと。僕はそれを言い換えます。3倍ということは、「あなたは普通の1人の人間の、3分の1の人間としてしか認められていませんよ」と言われているということです。1票を持っていない。3倍というのは3分の1ということですよね。僕はこういう表現を使います。

飯田)票の重みとしてそうなるのですよね。

人口減で今後さらに進む「一票の格差」~議論すべきことは何か

少子高齢化による人口の一極集中で一票の格差はさらに加速される

鈴木)選挙においてあなたは3分の1の人間で、人より認められていないのですよと。そういうことかと思うと、「ふざけるな」という話になりますよね。一票の重みは、そう感じなければいけないと思うのです。少子高齢化が進んで、人口の一極集中が止まらない。一票の格差はさらにスピードが加速される。ですので、憲法での一票の意味と、具体的な実際の選挙制度ということをしっかりと議論した方がいいですね。一票の格差を一票という重みだけで行くと、まさに合区のような問題が出て来る。どこの県とどこの県を合わせてという。

飯田)参院選はそうなりましたからね。

人口減で今後さらに進む「一票の格差」~議論すべきことは何か

各県に1人という「実態の選挙制度」と「一票の格差」について議論する時期に来ている

鈴木)47都道府県、それぞれの地域で生活や風土、文化、経済も含めて政治や行政が行われており、各県に1人は絶対に必要だと。これは実態の選挙制度の議論ですよね。一票の重みとは違う。反対に、1つの県で1人ということであれば、その県の人たちの一票の重みはキープされるわけです。そういうことも含めて、それがいいかどうかは別として、議論をしなくてはなりません。

飯田)そうですよね。一票の格差は、全国的に全部の選挙区を比べてということになると、こうやって格差のようなことになります。一方で地域代表制だとか、衆議院は一票の格差をほぼなくして行く形にしますが、参議院は地域代表に変えるといった議論も必要ですよね。

鈴木)衆議院も単純小選挙区にするのか、参議院は比例だけだとか。

飯田)一票の格差だけにこだわるのであれば、全国の選挙区にして比例代表で選ぶようにすればそうなりますが、それでバラバラな政党が乱立してしまったら、政治が安定するのかという話にもなりますよね。

鈴木)小選挙区との矛盾も出て来ます。こういうことを少子高齢化のなかで、1度整備する時期に来ていると捉えるべきですね。

飯田)今後も各地で判決が出て、すべて出そろった段階で上告されれば、最高裁が統一判断を下すという流れになっています。

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