アメリカ大統領選まであと1年~急浮上するヒラリー・クリントン氏再出馬

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月4日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。アメリカ大統領選の1年前となる現在の状況について解説した。

アメリカ大統領選まであと1年~急浮上するヒラリー・クリントン氏再出馬

米ケンタッキー州の選挙集会で演説するトランプ大統領=2019年11月4日(ロイター=共同) 写真提供:共同通信社

大統領選開始のゴング~11月に行われる3つの州知事選挙

2020年11月3日に行われるアメリカ大統領選挙まであと1年となり、トランプ大統領が再選を目指して選挙活動を活発化させている。政権奪還を目指す野党・民主党は候補者絞り込みに向けて論戦を重ねており、選挙戦は早くも熱を帯びている。

飯田)「大統領選まであと1年」と、各誌が特集記事を出しています。須田さんの注目点はどのあたりになりますか?

須田)不思議なことに日本ではまったく取り上げられていないのですが、11月の上旬にアメリカの3つの州で、州知事選挙があります。ケンタッキー、ルイジアナ、ミシシッピの3州でありまして、今年(2019年)の州知事選挙はこの3つだけです。これが事実上、開始のゴングになります。これを強く意識して、バグダディ容疑者の殺害がスケジュール的にセッティングされた形跡があります。この3つのうち共和党がいくつ取れるのか、というところが大きなポイントになると思います。

飯田)州知事選というと、州が1つの選挙区になるということですよね。そうすると、大統領選挙や予備選と被るわけですね。

須田)ここで弾みをつけて、しかもその州に関しては抑えにかかるというところなのだろうと思います。

飯田)フロリダでアル・ゴア氏とブッシュ氏で揉めたときがありましたが、最終的に選挙管理は州知事が握ったりしますよね。

須田)そうですね。トランプ大統領がここへ来て、ニューヨーク州からフロリダ州へ住所を移しており、これも選挙を意識してのことだと言われています。もちろんニューヨーク州知事とニューヨーク市長とは、とんでもなく仲が悪いのですけれどね。

飯田)ニューヨークは民主党ですものね。

トランプ大統領の弾劾となればバイデン氏は候補として失速する

須田)いずれにしても、完全にアメリカは大統領選挙モードに突入している。今後の外交も内政も、特に外交に関しては選挙を強く意識して行くことになるのだと思います。ただ、ウクライナ疑惑の弾劾という点では、弾劾における下院の役割は検察官役です。これを起訴するかどうかを決めるのが下院です。下院は民主党が過半数以上を握っていますから、起訴する可能性は高いだろうと思います。それに対して上院は、裁判所の役割なのです。有罪かどうかを決めるのが上院。これについては共和党が過半数を握っていますから、有罪になることはない。結果の見えた弾劾ということになります。ただこれは諸刃の剣で、検証して行く段階に関しては、確かにウクライナの大統領に圧力をかけた可能性もないわけではありませんが、バイデン元副大統領の息子の問題があります。これがとんでもない息子でして、真っ黒なのですよ。その事実関係が出るとなると、バイデン候補も脱落ということになると思います。

飯田)疑惑で傷がつくのはお互い様ということになる。バイデンさんが失速すると民主党の大統領レースは、いわゆる党内左派が有利になりますよね。

須田)ウォーレンさんも左派ですし、サンダース上院議員にオカシオコルテス氏が乗っかったのですよ。

飯田)ニューヨーク選出の下院議員の。

須田)これも環境左派、極左ですから、バイデンさんが候補から脱落すると左派同士の争いになります。そうなったときにトランプ大統領と戦って勝てるのか、という問題になります。

浮動票獲得が選挙の鍵~ヒラリー・クリントン再出馬説

飯田)本選で取らなければいけないのは、中道の部分の揺れている人たちをどう取り込むかということで、左派過ぎる人が民主党から出てしまうと、「であればトランプさんに」となるわけですか?

須田)そういうところを民主党内でも恐れている人がいまして、もう少しニュートラルな人ということで、意外な人の名前が上がって来ました。ヒラリー・クリントン氏です。

飯田)3度目ですか。

須田)本人もまんざらではない。喜劇の領域に民主党内は入って来たな、というところです。

飯田)そもそもバイデンさんだって、ずいぶんと昔の名前が出たな、というところでした。それどころではないですよね。そうなったら、またいろいろな疑惑がある。クリントン財団はどうなったのだ、という話もありました。

須田)1年前にそれをやっていて大丈夫なのか、という状況です。とはいえトランプさんも盤石ではなくて、いま不支持の方が支持より10ポイントくらい上なのですよ。ただ、岩盤のような支持層が40%ほどありますから、そこを固めて行くような戦略で、そこに若干の上乗せということになって来ます。そうなると、民主党の候補者に対する口を極めたような罵り合戦になっていまして、それがさらにアメリカの分断を深めて行くでしょうね。

飯田)前回の大統領選のときに、民主党が強かったラストベルトと呼ばれる北部の工業地帯がひっくり返ったのも大きかったと言われています。どちらに転ぶかわからない州が6~7つあると言われていて、そこの帰趨もまだわかりませんね。

須田)ふたを開けてみないとわからないのですが、前回も中間選挙で上院議員の部分を見てみると、そのまま推移するならばトランプさんは有利かなと思います。ただ、あと1年ありますから、何が出て来るかわからない。トランプさんはいくつも爆弾を抱えていて、そのたびに潜り抜けて来たのが実態です。サーカスの綱渡り状態で臨んでいるわけです。大統領選は空中戦ばかりで、本筋の論戦が何もないということになりかねません。

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