【ライター望月の駅弁膝栗毛】
広大な越後平野の真ん中を、橙色と緑色(湘南色)の115系電車が駆け抜けて行きます。
国鉄末期からJR初期にかけて、本州どこでも当たり前のように見られた鉄道風景ですが、いまでは、この国鉄時代を彷彿とさせる風景も、新潟・長野・岡山くらいとなってしまいました。
寒い朝、白い息で駅へ駆け込む学生服の私を見て、ドア閉めを待ってくれた優しい車掌さん。
線路際からみかん色の電車が走り抜ける風景を眺めると、私も高校時代がよみがえります。
きっと、人それぞれ、さまざまな思い出があるに違いない「電車通学」。
新潟のみなさんにとっては、白地に緑の帯を巻いた電車に思い入れがあるようです。
平成30(2018)年に、新潟地区で行われた115系電車の「思い出」にまつわる投票で見事、1位となって復刻されたのが、こちらの「二次新潟色」でした。
ちなみに、平成5(1993)年のドラマ「高校教師」で出てきたのは、一次新潟色でしたね。
(参考)JR東日本新潟支社ニュースリリース・2018年7月24日分
その後、登場した「三次新潟色」の115系電車が、関屋分水路を渡って行きます。
新潟の肥沃な土地を生んだ、日本一の大河・信濃川。
豊富な水量を誇るゆえの「分水路」は、新潟の街を水害から守っているのと同時に、新潟のお米を美味しくしてくれる「大きな川」の存在を気づかせてくれるものです。
やっぱり食と水は、切っても切り離せないものなんでしょうね。
新潟駅弁「新潟三新軒」が手掛ける幕の内弁当は、「新潟コシヒカリ弁当」(1000円)。
今年(2019年)11月17日から、新しいパッケージにリニューアルされました。
新しい包装では、「新潟コシヒカリ弁当」のロゴが変わったのをはじめ、社名が大きく入り、「新潟三新軒」の駅弁であることがわかりやすくなりました。
また、箱の側面にはアレルギー表示などが加えられ、時代の要請にも応えた格好です。
【おしながき】
・白飯(新潟県産コシヒカリ)
・焼鮭
・玉子焼き
・鮭巻昆布
・もち豚メンチカツ
・南蛮海老の唐揚げ
・車麸
・煮〆(人参・こんにゃく・いわしつみれ・ごぼう)
・しばわかめ
・かぐら南蛮味噌
・奈良漬け胡瓜
・ゆず大福
一見、普通の幕の内に見えますが、じつに「新潟らしい」幕の内です。
つやつやの新潟県産コシヒカリ100%の白飯と、塩が程よい焼鮭との相性は抜群!
おかずも鮭の昆布巻、もち豚のメンチカツ、南蛮海老の唐揚げ、車麩、神楽南蛮味噌などがぎっしりと詰まって、県庁所在地らしい「新潟県の味」がギュッと詰まった構成です。
デザートとして、ゆず大福も付いているのが嬉しいですね。
弥彦の山々を望みながら、水田地帯を時刻通りに走り抜けて行く越後線の列車。
信濃川の流れを制御し、水はけを改良することで、新潟の美味しいお米は作られてきました。
さまざまな事件・事故・災害から、「当たり前の日常」が改めて大事であることを痛感させられたように思う「令和元(2019)年」。
駅弁もまた、当たり前のような「白いご飯」に、改めて注目してみてはいかがでしょうか。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/