東京五輪も参加禁止~ドーピングが止まらないロシアの体質

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ニッポン放送「ザ・フォーカス」(12月10日放送)に中央大学法科大学院教授・弁護士の野村修也が出演。ロシアの組織的ドーピング問題について解説した。

東京五輪も参加禁止~ドーピングが止まらないロシアの体質

記者会見する世界反ドーピング機関(WADA)のリーディー会長(中央)ら=12月9日、スイス・ローザンヌ 写真提供:時事通信社

ロシアに厳罰 “4年間の国際大会出場禁止”

9日、WADA(世界反ドーピング機関)は組織的なドーピング問題を抱えるロシアが重要なデータを改ざんしたと認定した。これにより、ロシア選手団は来年の東京オリンピック・パラリンピックをはじめ今後4年間国際大会への出場が禁止となる。

森田耕次解説委員)ロシアのドーピング問題はそもそも2014年に陸上界の組織的ドーピング疑惑が報道され、翌2015年11月にWADA(世界反ドーピング機関)がRUSADA(ロシア反ドーピング機関)を資格停止処分にしました。WADAは2018年9月にロシア側から過去の検査データの提供を受けるという条件つきでRUSADAの処分を解除したのですが、ロシアは期限を守らず、その後にデータの改ざんが判明しました。この問題をめぐってWADAは9日にスイスで常任理事会を開き、ロシア選手団を東京オリンピック・パラリンピックなど主要大会から4年間除外する厳罰処分を決めました。潔白を証明した選手だけ個人資格での東京オリンピック・パラリンピック出場を認めるとしています。2018年冬の韓国の平昌オリンピックと同じく、国としての参加や国旗の使用は認めないということです。処分は過去最大級に重いもので、サッカーのワールドカップカタール大会、各競技の世界選手権といった主な国際大会についてもロシア選手団やロシア政府関係者らの参加のほか、大会を開催すること、大会の招致をすることも4年間禁止するという厳しい内容になりました。これを受けてプーチン大統領は、スポーツ仲裁裁判所に異議を申し立てる可能性があります。

野村)これは4年間ということで、来年の東京オリンピック・パラリンピックはもちろん、北京の冬季オリンピックも出られないわけですよね。フィギュアスケートの女子を見ていると、上位はほとんどがロシアの選手です。彼女たちは国を背負って大会に出たかったかもしれませんが、それもだめだと。もちろん東京オリンピックもだめなのですよね。選手たちからすると、自分はやっていないのにと思う選手はいると思うので、個人資格での参加はできるということですが、どうしてロシアはやめられないのでしょうか。前のときは衝撃的でした。検査する場所にねずみの穴のようなものがあって、そこからすり替えが行われていたというのが日本でもずいぶんと報道されました。あんなことは二度と繰り返さないだろうとみんな思ったのですが、結局今回も検査の結果、ドーピング違反の可能性があるデータが100ヵ所くらいにデータ改ざんがあったということです。これは個人が誤魔化して薬を飲んだというようなレベルの話ではありません。やはり国家ぐるみの不正と言わざるを得ないでしょう。

森田)ロシアのメドベージェフ首相も「ロシアのスポーツ界に依然ドーピング問題が存在するのは否定できない」と述べています。一方で、「ロシアに対するヒステリーの継続だ」と批判もしているのですが、こういう体質が残ってしまっています。

東京五輪も参加禁止~ドーピングが止まらないロシアの体質

モスクワで記者会見するロシアのプーチン大統領(タス=共同)=2018年12月20日 写真提供:共同通信社

無理やり巻き込まれてしまう選手も

野村)選手のなかには国家の力で無理やり巻き込まれている人たちもいます。信じているコーチに「これを飲みなさい」と言われることもあります。最近はドーピングもかなり巧妙な手口になっていて、自分の血液を抜いて薬に浸して、そこから血液を入れ直すといった新しい手法もあります。こういったものを治療という名の下に行われてしまうと、選手は自分が気づかないままドーピングをさせられてしまいます。しかし、その人たちを含めてドーピングはドーピングです。スポーツの世界では絶対に許されない行為ですから、こういった制裁を受けることになるのですよね。

森田)東京オリンピックを直撃ということで、合宿地でロシアの選手団を招くようなところは困惑しているようです。

野村)東京オリンピックの名の下ではあるものの、各地で誘致活動が行われていて、それぞれの国の選手が自分の都道府県で練習して欲しいと誘致してきたわけです。子どもたちがロシアの言葉を覚えたり、国歌を歌ったりといろいろなことをやってきました。そこが本当に残念なことだと思います。

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