【しゃベルシネマ by 八雲ふみね 第740回】
さぁ、開演のベルが鳴りました。支配人の八雲ふみねです。シネマアナリストの八雲ふみねが観ると誰かにしゃベりたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。
今回は、12月13日公開の『カツベン!』を掘り起こします。
周防正行監督、5年ぶりの最新作!
『Shall we ダンス?』『それでもボクはやってない』など、日本映画の歴史にその名を刻む周防正行監督最新作のテーマは、活動弁士、通称カツベン!
サイレント映画の時代に、楽士の奏でる音楽に合わせ、自らの語りや解説で観客を魅了した“しゃべりのスーパースター”を夢見る青年の奮闘を描いたヒューマン・コメディが誕生しました。
子どものころ、人気職業の活動弁士に憧れていた、染谷俊太郎。しかしいまでは、“ニセ弁士”として泥棒一味の片棒を担ぐ日々。そんなインチキに嫌気がさして一味から逃げ出した俊太郎は、流れ流れて小さな町の映画館・青木館で働くことに。
「ついに本物の弁士になることができる!」と期待に胸が膨らむ俊太郎だったが、彼を待ち受けていたのは想像を絶するトラブルの数々。おまけに、かつての泥棒仲間やニセ弁士を追う警察官まで現れての大騒動に。果たして、俊太郎の夢はどうなる???
主人公・俊太郎役は、本作が映画初主演となる成田凌。現役の活動弁士の元で7ヵ月間、毎日3時間に及ぶ稽古を重ねたという、その活弁シーンは堂々たるもの。おっちょこちょいだけれど、夢に向かって一直線な青年を爽やかに演じています。
また女優になることを夢見るヒロイン・栗原梅子を演じるのは、若手実力派女優の黒島結菜。永瀬正敏、高良健吾、井上真央、音尾琢真、竹野内豊と超実力派俳優が脇を固め、竹中直人、渡辺えり、小日向文世をはじめとする周防監督作品おなじみのキャストも登場。
彼らが演じる、くせ者だけれど憎めない“愛すべきキャラクター”たちにも注目です。
無声映画が隆盛を極めた時代には、8000人近くが活躍していたという活動弁士。弁士によって映画の解説の仕方が変わるため、同じ映画でもまったく異なった色合いとなる、こうした映画文化は日本独自のもの。
私も無声映画の上映会を拝見したことがありますが、活動弁士が織りなすライブ感あふれる映画体験に心が踊ったのを覚えています。
そんな活動弁士に焦点を当てることで、彼らが日本映画に与えた影響や、“映画”という娯楽が持つ魅力を再発見することができる本作。是非、その醍醐味を映画館で体感して。
『カツベン!』
2019年12月13日(金)から全国ロードショー
監督:周防正行
脚本・監督補:片島章三
音楽:周防義和
エンディング曲:奥田民生
出演:成田凌、黒島結菜、永瀬正敏、高良健吾、音尾琢真、竹中直人、渡辺えり、井上真央、小日向文世、竹野内豊
(C)2019 「カツベン!」製作委員会
公式サイト https://www.katsuben.jp/
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/