ニッポン放送「週刊 なるほど!ニッポン」(12月29日放送)では、「静岡市・ホテイの『やきとり缶詰』、お馴染みの味は宇宙レベルだった?」というトピックスを紹介した。
静岡市清水区に本社がある「株式会社ホテイフーズコーポレーション」。1970年に発売された「やきとり缶詰」は、累計販売数が9億缶に達するという。そんな「やきとり缶詰」が先日、JAXA(宇宙航空研究開発機構)から「宇宙日本食」の認証を正式に取得した。
果たしてどんな試行錯誤の末に、宇宙用に改良されたのか? 株式会社ホテイフーズコーポレーション・商品企画課の水野拓真さんに、立川晴の輔が話を伺った。
晴の輔:ホテイの「やきとり缶詰」は、ずっと変わらないですよね。
水野:おかげさまで半世紀を迎えます。国産鶏肉を使った炭火焼というコンセプトは、発売から変わらないですし、おなじみのキャラクターを使ったデザインも基本的には変わっておりません。
晴の輔:このたび、それが宇宙に旅立つとか。
水野:JAXAが認証する『宇宙日本食』という規格があるのですが、その認証を取ることができました。
晴の輔:認証されたのは何味なのですか?
水野:味の点では紆余曲折ありまして、メインの『たれ味』はすんなりと決まったのですが、2つ目をどうするか…。宇宙では味覚が鈍感になるらしく、刺激的な味が好まれるということで、JAXAの方にいろいろと食べていただいた結果、『柚子こしょう味』が選ばれました。
水野:申請から認証まで、2年7ヵ月かかっています。しかし改良や、新しく開発したりはしていないのです。
晴の輔:スーパーで売っているものを、そのまま出したのですか?
水野:売っているものはデザインされていますが、宇宙に飛び出すのは白い無地のもので、中身や容器は全く一緒です。
晴の輔:なぜ時間がかかったのでしょうか?
水野:いろいろな試験があり、求められる条件が、まず1年半の保存期間なのです。どのメーカーも絶対に、最低でも1年半はかかります。その他にも膨大な量の書類審査、高レベルの衛生管理基準もあります。JAXAの方たちが工場に立ち入り検査も行うので、その準備も大変でした。工場の者たちも『こんなに厳しい検査は初めてだ』と言っておりました。
晴の輔:缶に何かロゴが入ったりするのですか?
水野:『宇宙日本食』という赤いロゴマークが付いたものを、2020年1月ごろから店頭で、期間限定発売する予定です。
晴の輔:自分たちの商品が宇宙に行くのを想像すると、社員の方たちは嬉しいでしょうね。
水野:ロマンがあります。『やきとり缶詰』というと、我々のようなおじさん世代がビールのおつまみに、といったイメージがあります。でも子どもたちに「宇宙飛行士と同じものを食べられる!」と、憧れの目で見てもらえたら嬉しいなあと思います。
晴の輔:宇宙飛行士の方には、どのような気持ちで食べてもらいたいですか?
水野:地上にいるときと同じ気分を味わってもらいたいです。半年間ぐらいの長期滞在に持って行くのだとか。食事はストレス解消の1つになるらしいので、『やきとり缶詰』を食べながら地上を、そして日本を思い出していただけたら嬉しいです。
晴の輔:宇宙に持って行く際に、「こうなってはいけない」というような審査はあるのですか?
水野:宇宙ならではの特別な検査があり、条件としては『宇宙空間で飛び散らない』。ある程度、タレに粘り気がないとダメなのですが、これは市販品そのままのクオリティでクリアできました。その他にも、ロケットで飛び立つときにものすごい圧力がかかるので『耐圧検査』があったり。温度変化の激しい宇宙空間で耐えられるか、マイナス50度からプラス50度までの『耐寒、耐熱検査』などもあります。これも問題なくクリアできました。
晴の輔:宇宙用に新しく容器を開発したのかと思いました。
水野:缶詰という食品自体が向いていたのでしょうね。また、宇宙空間は無重力なので、棚に物を置いたりしないのだそうです。今回の『やきとり缶詰』には、マジックテープ状のものが付けてあります。宇宙船では食品に限らず、物には全てマジックテープ状のものを用いて、壁に付けておくのがルールだそうです。
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