新型肺炎で新たに1人が死亡~30億人が世界中に移動する春節でのリスクは

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ニッポン放送「ザ・フォーカス」(1月21日放送)に中央大学法科大学院教授・弁護士の野村修也が出演。新型コロナウイルスの対策について解説した。

2020年1月20日、中国湖北省武漢で肺炎の発生の原因として特定されたコロナウイルスの発生源とみられ閉鎖された華南海鮮卸売市場近くのバス停留所で待機しているマスク着用の中国人居住者 EPA=時事 写真提供:時事通信社

中国新型肺炎 死者4人に

中国武漢市の衛生当局は21日、新型コロナウイルスによると見られる肺炎で89歳の男性が死亡したと発表した。これにより死者は4人となった。こうした感染拡大を受け、WHO(世界保健機関)は「国際的に懸念される緊急事態」にあたるかを判断する専門家による緊急会合を22日に開くことを発表した。

森田耕次解説委員)新型のコロナウイルスによると見られる肺炎で亡くなった方がこれで4人ということになりました。武漢市内で医療従事者15人が新型コロナウイルスに感染したことも明らかになっています。中国政府の専門家チームは、「人から人に感染したことが証明された」と明言しています。武漢市の感染患者は、これまでで198人。上海市でも2人目の感染が確認され、この他北京で5人、広東省で14人、中国国内でこれまでに少なくとも219人の感染者が確認されています。海外では日本で1人、タイで2人、韓国で1人の感染が確認されているという状況です。中国政府の専門家グループは、春節の連休が24日から始まるということで、発症者はさらに増えるだろうと予測しています。「熱が出た人は武漢を出ない方がいい」と指摘しまして、「強い感染力を持つ患者(スーパースプレッダー)の出現を防がなければならない」と危機感を示しています。一方、日本政府は肺炎対策の関係閣僚会議を21日に開き、水際対策の徹底や患者の確実な把握、情報収集の徹底と迅速、的確な情報提供を行う方針を決めました。

安倍総理大臣)厚生労働大臣をはじめ、関係閣僚におかれては徹底した対応方針の下、検疫における水際対策の一層の徹底。国内で感染が疑われる患者等を把握し、検査する仕組みの着実な運用。国際的な連携を密にし、感染者の発生状況等の情報収集の徹底などに万全を期してください。その上で、国民に対し引き続き迅速かつ的確な情報提供を行っていくよう、よろしくお願いします。

森田)安倍総理はこう述べまして、武漢に加えて上海からの入国客に対する空港での対策も強化して、体調や薬の服用状況の申告を呼びかけるカードを配布すると。武漢から来た人は入国前に症状の有無や日本国内での連絡先を訪ねる質問票を記入してもらうと。一応日本は関係閣僚会議を開いて対策を決めたということですね。

野村)どのくらいの拡大があり得るのか見通しが立っていないので、あまり警戒し過ぎるのもどうかと思いますが、何と言っても水際できちんと管理できなければ国内のあらゆるところで感染していく危険があります。私たちも自分のこととして管理していかなければいけないと思います。

各地に対策チーム派遣  新型肺炎の〝発生源〟とみられ、閉鎖されている中国湖北省武漢市の海鮮市場=2020年1月17日(共同) 写真提供:共同通信社

出現が警戒される「スーパースプレッダー」

野村)2002年から2003年にかけて世界的に感染したSARSというものがあります。あのときには中国が情報を隠ぺいしていたことが国際的に批判されました。それで、急激に患者数が増えてしまいました。「スーパースプレッダー」は体質によるもので、特別にその方が悪いというわけではないのですが、感染した後他人にうつしやすい人なのです。この人がSARSのときに発生して、かなりの医療関係者が亡くなったということがありました。そういうことを考えると、今回の新しいウイルスについても、大量に感染させる人が出てこないうちにきちんと管理していかなければいけないということが言えます。

森田)日本政府としては空港で入国者には検疫を行って、原因不明の肺炎の患者がいれば保健所に相談するようにと医療機関に求めていますが、どこまで水際で食い止めることができるのか。今回の肺炎に関しては、習近平国家主席が初めて指示を発表して「断固として感染の蔓延を抑え込み、社会の安定を維持しろ」と情報開示や国際協力の強化を担当部門に求めたということですが、まだ報道統制が敷かれているようなところもあるようですし、中国の衛生当局としての記者会見も開かれていない状況です。

野村)1つには水際と言っても潜伏期間が2週間くらいありますから、感染していても入って来てしまう可能性があります。海外では、武漢から来た人については熱のあるなしに関わらず、診療をする対応をしているところもあります。もう一段厳しい管理をする必要が出てくるかどうか、そこが見極めどころだと思います。いま、感染が人から人へということを中国が発表していますが、どのくらいの接触で感染するのかというのが不明確なのですね。当初は濃厚接触と発表していたのです。家族のように長時間にわたって密に接触している状況でなければ感染しないと言っていたのですが、医療関係者のなかにも患者が出ていますから、患者さんからの飛沫感染の危険性もあるということです。そうなると、拡大が恐ろしい規模になる可能性があります。

ニッポン放送「ザ・フォーカス」

22日のWHO緊急委員会に注目~緊急事態宣言の可能性も

森田)WHOは22日にスイスのジュネーブで専門家による緊急委員会を開くということですが、緊急事態宣言ということになると、2019年のコンゴでのエボラ出血熱以来になります。このWHOがどういう見解を示すのかも気になるところですよね。

野村)いわゆるパンデミックが起こるのかどうかという見極めなのですが、春節でしょう。世界中に30億人が移動すると。自分の立場になって考えてみても、旅行の計画をしているときに直前に熱が出ても、行ってしまうでしょう。

森田)解熱剤を飲んでしまって。

野村)そうすると、水際のところでは最初に熱があるかどうか見るわけですが、熱が下がっているとなかなか捕まえられません。把握しにくいというのは問題がありますよね。早急にみんなで対策を検討しなければいけないと思います。

森田)中国の専門家グループも「爆発的に広がる可能性がある」と言っていますが、まだウイルスを運んでいる動物が何なのか、感染の範囲なども特定できていない状況です。

野村)あらゆる可能性を考えて対策を講じなければいけないと思いますし、潜伏期間がありますから、後になって出てきた場合にも注意が必要だと言えると思います。

番組情報

ザ・フォーカス

火曜〜木曜 18:00-21:20

番組HP

錚々たるコメンテーター陣がその日に起きたニュースを解説。佐藤優、河合雅司、野村修也、山本秀也らが日替わりで登場して、当日のニュースをわかりやすく、時には激しく伝えます。
パーソナリティは、ニッポン放送報道部解説委員の森田耕次。帰宅時の情報収集にうってつけの番組です。

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