新型コロナウイルス~守るべき3つの注意事項
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月24日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。新型コロナウイルスの最新情報について解説した。
中国の武漢で、日本人男性が重い肺炎で入院
24日から始まる春節の連休、日本にも70万人以上の中国人観光客が訪れると見込まれていて、国内でも新型コロナウイルスへの警戒が高まっているなか、在中国日本大使館は23日、北京で開催した法人向けの説明会のなかで、武漢市で日本人1人が重度の肺炎となり入院治療を受けていることを明らかにした。新型コロナウイルスによるものか確認中で、60代男性だということである。
飯田)先ほど速報が入って来ました。厚生労働省は24日、中国湖北省武漢市から旅行で日本を訪れていた40代男性が新型コロナウイルスに感染し、肺炎を発症したことを確認したと発表しました。国内で新型コロナウイルスの感染が確認されたのは、神奈川県在住の中国人男性に続いて2例目です。この患者は東京都内の医療機関に入院中ということです。ベトナム、シンガポールでも感染者が出ていて、中国では死者18人に増えましたけれども、武漢市以外で亡くなったという情報もあります。
中国での患者10人は日本では100人にあたる
宮家)私はSARSのときに北京にいましたが、「またやってしまったな」という感じですね。まず、中国は人口が日本の10倍ですから、向こうで患者が3人出たら、実際には30人出たというイメージになります。100人出たら1000人出たということです。中国は、初めは何でもないような小さな数字を出すのです。ところが病気が広がって来て止まらなくなったら、いきなり数百人という数字を出します。情報を小出しにする傾向があるので、いつも後手後手に回っている印象を持ちますし、実際そうだろうと思います。特に運の悪いことに、今は春節の直前です。これでどうやって蔓延を止めるのでしょうね。非常に心配です。
過剰反応してはいけない
宮家)2つ目に言わなくてはいけないのは、過剰反応です。今回は日本で2例目が出たということで、両方とも中国の方のようですが、だからといって中国の人がみんなウイルスを持っているわけではありませんから、そこで過剰反応してはいけないと思います。あくまで冷静に対応しなくてはいけない。
政府にすべて任せるのではなく、渡航については自己責任にするべき
宮家)3つ目に言いたいのは、渡航情報についてです。
飯田)23日、武漢市に対してはレベル2となっていました。
宮家)誤解を恐れずに言いますけれど、レベルを1から2に上げる、2から3に上げるということは、行政の側から言えば、1つ間違えたら大変な問題になるのです。「行くな」と言うのと同じでしょう。なぜ行くなと言わなくてはいけないのか。外国で勝手に変な病原菌が広がっているわけで、日本政府に責任はないではないですか。それでも日本では「政府は何をやっているのだ」と言われます。それはそうなのですけれど、では、何でもかんでも政府の責任にするのか。それは無理ですよ。普通の国であれば、この種の問題は基本的には自己責任なのだと私は思います。
飯田)情報までは出すけれども、行くか行かないかは自己責任。
宮家)勿論、そこは非常に難しいところで、1回レベルを上げたらなかなか下げられないし、上げても下げても、みんな「ああでもない、こうでもない」と言いますから、行政の責任者はそのなかで苦渋の選択をするわけです。ですから今回の場合、スローに見えるかも知れませんが、WHOや国際的な情報も見ながら、事実に基づいてどうするかということを常に考えている。さぼっているわけではないのです。「考えに考えた上で情報を出さないことも多い」と思ってください。だからと言って、責任がまったくないと言うつもりはありません。しかし、政府としてもできることに限りがあることは事実です。特に外国から入って来るものについてはね。それでも、日本は島国だからまだいいのです。中国と国境を接している国はもっと大変だと思います。幸い武漢は内陸だからいいですけれど、今は飛行機でどこへでも飛んで行けてしまいますからね。
飯田)飛行機も高速鉄道もあって、交通の要衝だという話もあります。
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