新型コロナウイルス~毒性が低く、感染者が動き回ってしまう
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月27日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。新型コロナウイルスについて、東京医科大学病院教授で渡航者医療センターの濱田篤郎を電話ゲストに招き、解説した。
新型コロナウイルス~感染者は2000人以上
中国の武漢から発生した新型コロナウイルスの患者数は世界中で2000人を超え、中国国内での死者は56人となった。また日本でも週末、いずれも武漢市在住で、観光で東京を訪れた40代男性と30代女性、そして愛知県を訪れた40代男性の3人の発症が確認され、これまで合計4人の感染が確認されている。
飯田)中国政府は日本を含む海外への団体旅行を、27日から当面の間は中止することを決定しています。また中国の保健当局は、感染力がやや強くなっているとみられると発表しています。拡大のスピードが一層早くなっていて、患者数は今後も一定程度増えるだろうと危機感を示しています。この時間は海外での感染症事情にも詳しい、東京医科大学病院教授で渡航者医療センターの濱田篤郎さんに現状、取るべき対策について伺います。まず感染者が2000人を超えたという発表ですが、専門家の方はどのようにご覧になっていますか?
濱田)確かにスピードが上がっています。1週間で約10倍に増えているということです。
飯田)感染力が強くなっているというのは、早くなっていることの原因の1つですか?
濱田)患者数が増えているのは、中国で検査が積極的に行われるようになったということもありますが、もう1つ、毒性が低いので重症にならないわけです。そうすると患者さんが動き回ってしまう。その結果、患者数が増えるということもあると思います。それから、ウイルスの感染力が上がっている可能性もあるかもしれません。
SARSと比べると毒性が低く、死に至る確率は2~3%
飯田)SARSと比べると毒性が低いために、死に至る確率はまだ低いという理解でいいですか?
濱田)そうですね。SARSのときは1割くらいの方が亡くなりましたが、今回は2~3%ぐらいですかね。
武漢以外に拡がればWHOが緊急事態宣言を出す可能性がある
飯田)WHOは緊急事態宣言を、現状では出していません。検討はしているけれども、と言うことを繰り返していますが、出たらまたフェーズが変わって来ますか?
濱田)そうですね。WHOがいま注目しているのは、武漢はもうヒト-ヒト感染が持続的に起こっているということですが、それ以外の中国の都市、北京や上海、広州、こういうところではどうかと。同じような事態になれば、緊急事態宣言を出す可能性があります。
飯田)でも武漢だけで1000万人以上の人口がいるとなると、普通だと小国か中規模くらいの国のレベルでしょうね。
濱田)人口的にはそういうことになりますね。
飯田)一国というレベルではないけれども、もう出してもいいのではないかという気もしますが、出すとインパクトが大きいということですか?
濱田)経済的にも周辺諸国に影響を与えますし、あくまでもWHOの宣言は国際的な緊急事態ということです。いま現在は中国内での緊急事態ではあるけれど、というような言い方をしています。
飯田)もし緊急事態宣言が出た場合、日本の対応も変わりますか?
緊急事態宣言が出た場合
濱田)日本ではもっと検疫が強化されますし、患者さんが見つかった場合には、ある程度隔離をして収容するということも行われる。それから毒性が強くなった場合には、日本国内でも一定の社会生活に制約が加わる可能性もあります。
飯田)その辺には、何か根拠法などがあるのですか?
濱田)2012年の新型インフルエンザ等対策特別措置法などは、新型インフルエンザだけではなくて、こういう新しい感染症が発生した場合にもある程度適応される法律です。
飯田)だからわざわざ「等」をつけているということですね。今回チャーター機を使って、希望される方は日本へ帰って来るという運びになりそうですが、帰って来た方々はそのまま家に戻すという形が適切なのか、少し時間を置いて経過観察した方がいいのか…。
濱田)これも政府の方では考えていると思いますが、大体2週間くらいがこういう感染症を観察する期間なので、それくらいは経過観察した上で、街に出ていただいた方がいいかもしれません。
飯田)スタジオには、ジャーナリストの須田慎一郎さんもいらっしゃいます。
この1週間が重要~SARSのときは収束するまで半年~東京オリンピックの開催に重なる
須田)感染者数が増えている、感染が広がっているという状況のなかで伺うのは不適切なのかも知れませんが、この種の感染症で収束に向けての目処、収束になって行くスケジュール感はあるのでしょうか?
濱田)現在どうなるかということは読めないのですが、とにかくこの1週間が重要だと思います。1週間でさらに中国国内で広がるようだと、WHOが宣言を出す。SARSと同じような状況になる可能性はあると思います。毒性は低いですけれどね。そうなると、SARSが収束するまでに半年はかかっているので、今回もそれくらいの期間はかかってしまうかもしれません。
飯田)そうなると、オリンピック・パラリンピックに重なる可能性がありますね。
濱田)その辺が非常に懸念されるところなのですが、それくらいまでの長期の視野を入れたいろいろな対策、対応が必要だと思います。
飯田)一般の国民として社会生活を営む上で、毒性が低いということは、予防のしようもあるということですよね?
インフルエンザの予防と同じ~手洗い、うがいとアルコール消毒
濱田)そうですね。現在、日本国内で患者さんがたくさん出ているわけではありません。中国から来られた方だけです。手洗いが大事です。特にSARSの場合もそうですが、コロナウイルスは便のなかにも出ることがあります。公衆トイレなどを使った後は、よく手を洗うことも大事だと思います。
飯田)そう考えると、インフルエンザ予防と同じで手洗い、うがいとアルコール消毒と。
濱田)そういうことになります。よく言われていますが、正しく恐れるということを心掛けていただければと思います。
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