直江津駅「海の幸弁」(1100円)~駅弁屋さんの厨房ですよ!(vol.22「ホテルハイマート」編(6))

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【ライター望月の駅弁膝栗毛】

えちごトキめき鉄道ET122形気動車「3市の花」号・普通列車、日本海ひすいライン・谷浜~有間川間

えちごトキめき鉄道」の日本海ひすいラインは、平成27(2015)年の北陸新幹線開業で、旧・北陸本線の市振~直江津間を引き継いだ電化路線です。
但し、途中の糸魚川~梶屋敷間に交流・直流の電気を切替えるデッドセクションがあるため、普通列車は電化方式に関係なく走行可能なET122形気動車による運行となっています。
一部車両はイベント兼用車となっていて、この時間は「3市の花号」がやって来ました。

直江津駅(ホテルハイマート客室より)

直江津駅前の「ホテルハイマート」客室より、駅舎を望みます。
かつての山小屋風駅舎に代わって、平成12(2000)年から供用を開始した4代目の駅舎は、豪華客船「飛鳥」をイメージしたものだそう。
以前は、山を下って来た信越本線と、海沿いを走って来た北陸本線が合流する駅でしたが、駅舎の歴史からも、改めて直江津が海と山の結節点として発展してきたことがわかります。

(参考)直江津地区連合青年会ホームページ

ホテルハイマート・山崎知夫営業統括部長

「駅弁屋さんの厨房ですよ!」第22弾は、直江津駅弁を手掛ける「ホテルハイマート」の駅弁部門を取りまとめている、山崎知夫(やまざき・ともお)営業統括部長に伺っています。
「鱈めし」「さけめし」と、2つの駅弁大将軍を誇る「ホテルハイマート」の駅弁。
山崎部長インタビューのラストは、ホテルハイマートの駅弁へのこだわりと今後について、お話をいただきました。

 

●「正直な弁当作り」が大事!

―「ホテルハイマート」が、駅弁作りで最も大切にしていることは何ですか?

「面倒くさいことをコツコツやる」こと、そして「正直な弁当作り」です。
初代・駅弁大将軍をいただいた「鱈めし」は、棒鱈を水で戻して、火入れして…とやって、1つずつ作っていくと、お客様の手元に届くまで1週間単位の時間がかかります。
「さけめし」も、鮭を焼いて、たれを塗って、また焼いて、二度焼きしています。
こういった作業を丁寧にやっていくことが大事だと思います。

ホテルハイマート

―新潟ですので、もちろん「お米」へのこだわりもありますよね?

妙高山麓で生産されている「矢代米(やしろまい・矢代産コシヒカリ)」を使っています。
ご飯の甘味が全然違うんです。
炊きあがったときの「輝き」がツヤツヤ光っていて、甘い香りが漂ってきます。
しかも、冷えてからも間違いなく美味しいんです。
お米を前日から氷水に浸し、水を多めに炊くことで、やわらかめのご飯に仕上げています。

 

●できるだけ地元産にこだわりながら、美味しいものを!

―おかずの食材には、どんなこだわりがありますか?

魚については、社長が入社以来、毎日早起きして上越魚市場へ足を運び、駅弁をはじめ、ホテル、食堂、それぞれに適した食材を仕入れるようにしています。
同じものを仕入れて使えば効率的ですが、駅弁、ホテル、食堂では、商品の価格帯も異なりますので、それぞれのコストに見合ったものを仕入れています。
駅弁では、「磯の漁火」に使っているサザエ、モズク、エビなどは、地元産を使っています。

ホテルハイマート・お食事処多七「本日の多七コース」のお造り

―市場に足を運ぶと、メリットは大きいですか?

魚市場には、さまざまな漁業関係者が集まります。
美味しい食材を仕入れるためには、情報収集は欠かせません。
ただ、「さけめし」などで使用する鮭などは、地物にこだわらずに、「美味しいもの」を北海道、あるいは海外から業者を通じて仕入れています。
鮭は焼き上げたときに皮までいただいても、本当に美味しいものを使っているつもりです。

 

●上越の海を眺めて駅弁をいただくと、より美味しい!!

―調味料も、地元のものを使っていらっしゃいますね?

塩、しょうゆ、みそは、地元・上越のものを使っています。
とくに醤油は「町田醤油」、味噌は「山本味噌」を使っています。
上越ならではの味を出すには、やはり地元産の調味料ではないかと思います。
食材は地物だけでなく、全国からできるだけ美味しいものを仕入れて、地元の調味料で、「上越の味」に仕上げていく格好です。

えちごトキめき鉄道ET122形気動車・普通列車、日本海ひすいライン・有間川~谷浜間

―山崎部長お薦め、ホテルハイマートの“駅弁を美味しくいただける”車窓は?

やはり、日本海の見える路線でいただいてほしいですね。
特に「えちごトキめき鉄道」の日本海ひすいライン(市振~直江津間)。
直江津で“海”というと、やっぱり谷浜、筒石から糸魚川、親不知と続く日本海なんですよ。
とくに私自身は、祖母が糸魚川出身だったこともあり、小さいころから、この海岸を眺めて育ってきましたので、思い入れも強いですね。

(ホテルハイマート・山崎部長インタビュー、後半へつづく)

海の幸弁

えちごトキめき鉄道・日本海ひすいラインのET122形気動車は、多くの座席で、列車の進行方向に向かって座ることができる「ホテルハイマート」の“駅弁向き”の車両です。
日本海を眺めて駅弁をいただくなら、その名もズバリ「海の幸弁」(1100円)をチョイス!
掛け紙には、上越の偉人・上杉謙信をはじめ、日本郵便の父・前島密、日本ワイン葡萄の父・川上善兵衛の3人の写真とエピソードが綴られています。

海の幸弁

【おしながき】
・白飯(矢代産コシヒカリ)
・鰊の甘露煮
・ほたての煮つけ
・するてん
・甘えび素揚げ
・ごぼう煮
・ガリ
・わさび漬け
・香の物

海の幸弁

にしん、ほたて、いか、甘えび…と、たっぷり海鮮食材が入った「海の幸弁」。
とくに直江津名物の1つ、するめいかの天ぷら「するてん」がドーンと入っています。
合わせて、鰊の甘露煮も丁寧に作られた逸品!
山崎社長の食材に対する“目利き”の素晴らしさを、舌で体感できる“酒呑み駅弁”です。
その意味でも、「ホテルハイマート」の“いいとこ取り駅弁”とも言えましょう。

鱈めしとさけめし

●「鱈めし&さけめし」のダブル大将軍で、ニッポンの「駅弁文化」を未来へ!

―創業120年あまり、「ホテルハイマート」が、これから力を入れていきたいことは?

「鱈めし」「さけめし」と、1社で違う食材を使って、2つの駅弁大将軍をいただいたことは、いままでにないことですので、これを活かした駅弁を作っていきたいと思います。
まずは駅弁、ホテル、食堂、駅そば(直江津庵)を含め、いまの事業を丁寧に継続して行い、次の世代へとつなげていけるようにしたいと思います。
上越市の人口も20万人を割り、ホテルで行われる会合の参加者も減少傾向ですので。

―これからニッポンの「駅弁」をどんな形で盛り上げていきたいですか?

駅弁は、「日本の食文化」です。
他の国や地域からお越しになったみなさんにも、しっかり駅弁の魅力を伝えていきたいです。
加えて、新潟・上越の食文化に、もっと触れていただきたいと思います。
「ホテルハイマート」の駅弁は、流行の弁当スタイルは追求しない「いぶし銀」の駅弁です。
ただ、(販売エリアを地元限定としていることもあり)、添加物も使っていません。
まずは、地元のみなさんにも、普段からイベントや会合などで召し上がっていただけるような駅弁を作り続けていきたいと思います。

(ホテルハイマート・山崎知夫営業統括部長インタビュー、おわり)

E7系新幹線電車「はくたか」、北陸新幹線・黒部宇奈月温泉~糸魚川間

北陸新幹線(長野~金沢間)、えちごトキめき鉄道が開業して5周年。
駅弁販売のメインは上越妙高駅になりましたが、今回の取材で、直江津駅での駅弁販売は止めるつもりはないと、心強い言葉もいただきました。
新潟鉄道発祥の地・直江津で地に足を付け、丁寧な駅弁作りを続ける「ホテルハイマート」。
その丁寧な姿勢、そして愚直に「美味しいもの」を追求する姿勢が、駅弁を通じてお客様に伝わったからこそ、2つの「駅弁大将軍」を獲得できたのかもしれません。
北陸新幹線・上越妙高駅は、駅弁のために途中下車する価値のある駅です。

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/


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