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【Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね 第796回】
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信する「Tokyo cinema cloud X(トーキョー シネマ クラウド エックス)。
今回は、3月14日に公開された『ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方』をご紹介します。
カメラマンと料理家の夫婦が“究極の農場作り”に挑む!
大都会から郊外に引っ越した夫婦が、自分たちの理想の農園を作り上げようと奮闘するドキュメンタリー映画『ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方』。
トロント国際映画祭をはじめとする、さまざまな映画祭で観客賞を受賞した注目の感動作が、日本でも公開中です。
殺処分寸前で保護した愛犬トッドの鳴き声が原因で、ジョンとモリー夫妻は大都会ロサンゼルスのアパートを追い出されることに。
かねてから「本当に体にいい食べ物かどうかは、農場の良し悪しにある」と自負していた料理家のモリーは、夫婦で郊外に移り住み、農業を始めることを決意。
しかし購入したのは、200エーカーもの荒れ果てた土地。2人は自然の厳しさに翻弄されながらも、そのメッセージに耳を傾け、命のサイクルを学び、究極に美しい農場を作り上げて行く…。
夫のジョン・チェスターは、映画やテレビ番組の監督・カメラマンとして25年のキャリアを持つ映像クリエイター。アニマルプラネットとITVの野生生物番組の制作者として世界中を旅したことがきっかけで、複雑な生態系の相互作用に興味を持つようになったのだとか。
2010年、妻のモリーと共に“アプリコット・レーン・ファーム”というバイオダイナミックによる、再生型の農業を始めることに。その8年にわたる奮闘を長編ドキュメンタリー映画に収めたのが、本作なのです。
彼らが目指したのは、「農場のなかで生態系を再現すること」。
生物多様性によって自己抑制が利き、害虫の大量発生や病気の流行を防ぐことができる。そんな生命に満ちたサイクルを作り上げて行く様子は、新型コロナウイルスに世界中が麻痺させられている“いま”を生きる私たちに、進むべき道や考え方のヒントを投げかけてくれているよう。
ドローン撮影やハイスピード撮影など、プロカメラマンの技術を駆使した映像の美しさは格別。ドキュメンタリー映画でありながら、人間ドラマもしっかりと描かれた心震える1作です。
『ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方』
2020年3月14日(土)からシネスイッチ銀座、新宿ピカデリー、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次ロードショー
製作・監督・脚本・撮影監督:ジョン・チェスター
出演:ジョン・チェスター、モリー・チェスター、愛犬トッド、動物たち
原題:The Biggest Little Farm
(C)2018 FarmLore Films ,LLC
公式サイト http://synca.jp/biglittle/
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/