【ライター望月の駅弁膝栗毛】
いわき駅から上野方面へ2駅の湯本駅は、「いわき湯本温泉」の最寄り駅。
品川・上野~いわき・仙台間を結ぶ特急「ひたち」号も、すべての列車が停まります。
いわき湯本温泉は、明治30(1897)年の常磐線開通が発展のきっかけとなりました。
首都圏からは、水戸、日立周辺へのビジネス需要が多い「ひたち」号ですが、観光風のカジュアルな服装をした乗客の皆さんは、湯本駅で乗降される風景がよく見られます。
1000年以上の歴史を誇るとされる「いわき湯本温泉」。
傷ついた鶴を癒したという「鶴の伝説」が、開湯の由来とも云われています。
湯本の温泉街にはこの伝説にちなんだ「鶴のあし湯」があります。
58.3℃、ph8.0、成分総計1838mg/kg、毎分5270ℓ湧出する含硫黄―ナトリウムー塩化物・硫酸塩泉が、この足湯にも贅沢にかけ流されていて、温泉街には湯の香が漂います。
そして「いわき湯本温泉」といえば、やっぱり「スパリゾートハワイアンズ」!
“東北のハワイ”とも称される福島県いわき市ですが、3月14日の常磐線全線運転再開に合わせて、いわき駅に「フラ弁」(1480円)なる記念駅弁が登場しました。
「アクアマリンパークウェアハウス」が製造するこの駅弁、パッケージもハワイアンな雰囲気。
いわき駅ビルの売店はもちろん、湯本駅2階の「湯本美食ホテル」でも販売されています。
【おしながき】
・ポキ(ご飯、かつお、ピクルス、アボガド)
・ロコモコ(ご飯、ミニハンバーグ、スパム、目玉焼き風オムレツ、デミグラスソース)
・ガーリックシュリンプ
・フライドポテト
・オニオンフライ
・コールスローサラダ
・マラサダ(メープルシロップ)
ハワイのグルメが、4つのマスにたっぷり詰まった「フラ弁」。
ロコモコは日本でも市民権を得てきましたが、右のマスもハワイ料理のツナ丼、「ポキ」。
そして興味深いのが、デザートとして入っているハワイの揚げパン「マラサダ」です。
なかにクリームは入っていないので、付添のメープルシロップをかけていただきます。
「アクアマリンパークウェアハウス」によると、「フラ弁」は食べやすさにこだわったといいます。
ロコモコがグレービーソースではなく、デミグラスソースなのも食べやすさが理由。
しかも、いわき産のサンシャイントマトを使った、いわき駅弁ならではのソースなんです。
また、「ポキ」も本場ではまぐろのツナが多いそうですが、「フラ弁」では、「JF福島漁連」の協力で、いわきらしさを表現すべく「かつお」を使用しています。
まさに“東北のハワイ”を追求した「フラ弁」、なかなか“攻めた”新作駅弁です!
上野~湯本間、仙台~湯本間共に、常磐線特急「ひたち」で概ね2時間10分。
江戸時代には陸前浜街道随一の温泉宿場町として栄え、昭和40年代からは“東北のハワイ”として、「いわき湯本温泉」は人気を博してきました。
軽快にポリネシアンダンスを踊る女性の姿を思い浮かべながら、いつかフラッと出かけて、「ひたち」の車内でハワイアン気分を味わいたいものです。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/