【ライター望月の駅弁膝栗毛】
3月14日から全線で運転を再開した常磐線。
品川~いわき間の特急「ひたち」も3往復が仙台発着となりました。
「スーパーひたち」時代は、いわきで切り離された4両編成で仙台へ向かうことが多かっただけに、10両の長編成が、福島県浜通り地方を走る風景は感慨深いもの。
かつて、特急「ゆうづる」「みちのく」といった東北特急が走った時代を思い起こさせます。
福島・宮城県境の常磐線(駒ヶ嶺~浜吉田間)は、地元自治体のまちづくり計画と合わせ、内陸に移設する形で、ひと足早く、平成28(2016)年12月に運転を再開しました。
もちろん、この移設された新線区間も、特急「ひたち」が走るのは初めてのこと。
まだ新しい高架橋や築堤の下に広がる水田やいちご畑のビニールハウスを眺めて、特急「ひたち」は、仙台に向けて4時間半の旅のラストスパートに入ります。
(参考)JR東日本水戸支社・仙台支社ニュースリリース、平成28(2016)年7月28日分
常磐線全線運転再開のシンボルと言ってもいい、特急「ひたち」の仙台直通運転。
この運転再開を記念して、水戸駅弁の「しまだフーズ」が、3月14日から製造しているのが、常陸、磐城、陸前の3つの国の味覚を1度に味わえる「常陸路三国弁当」(1500円)です。
掛け紙にも偕楽園、フラの女性、仙台七夕と伊達政宗公が描かれており、特急「ひたち」が駆け抜ける茨城・福島・宮城の美味しいものが、ギュッと詰まった駅弁です。
【おしながき】
・常陸牛しぐれ煮ご飯
・大洗産釜揚げしらすご飯 漬物大根のしそ巻き
・鮭炊き込みご飯
・牛たん塩焼き
・えごま豚しゅうまい
・笹かまぼこ
・玉子焼き
・ほうれん草のごま和え
・煮物(軍鶏肉団子、玉こんにゃく、人参、いんげん)
・梅れんこん
・大学いも
水戸を拠点とする「しまだフーズ」の駅弁らしく、茨城県産コシヒカリのご飯をベースとして、肉も常陸牛のしぐれ煮、福島のブランド豚・えごま豚の焼売、仙台らしく牛たんの塩焼き。
さらに、仙台の笹かまぼこ、いわき特産の大根漬けのしそ巻きが香の物、デザートは茨城らしい大学いもと、3つの県の特産がわかりやすく入っています。
特急「ひたち」の旅のお供はもちろん、いますぐは足を運ぶことができない方も、東京駅「駅弁屋 祭」でも販売されているこの駅弁で、常磐線の旅気分が味わえそうです。
江戸時代、松尾芭蕉が「奥の細道」の旅に出たのは、千住からでした。
南千住・北千住を通って千葉・東葛地方から茨城を縦断、福島・浜通りを経由し、杜の都・仙台まで1本で結ぶ「常磐線」。
東京~仙台間を、「はやぶさ」でビュンと1時間半で行く旅と、「ひたち」で4時間かけてゆっくり快適に行く旅が、再び選べるようになったことが、何よりも嬉しい常磐線の運転再開です。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/