【ライター望月の駅弁膝栗毛】
東京・品川から常磐線経由で、いわき・仙台を目指す特急「ひたち」号。
太平洋が見え始めた日立駅で多くのビジネス客が下りると、短いトンネルを繰り返しながら、福島・浜通りに向けて北上していきます。
海に面した地域でありながら、思いのほか山が多い茨城県北部。
日立鉱山が発展を支えてきた歴史を踏まえれば、山の恵みが多いエリアなのも納得です。
常磐線・日立駅から北、小木津(おぎつ)・十王(じゅうおう)といった小さな駅の辺りは、5億年前とも云われる「日本最古の地層」、カンブリア紀の地層が見られることで有名です。
なかでも「日立市かみね公園」は、散策気分で気軽に5億年前の地球に思いを馳せることができるスポット。
文学碑の石や展望台で、さりげなく5億年の歴史を感じることができるかもしれません。
そんな茨城にさまざまな恵みをもたらしてくれる山の風景を思い浮かべていただきたいのが、水戸駅弁「しまだフーズ」が製造する「常陸牛と山の恵み弁当」(1250円)です。
コチラの駅弁、3月14日の常磐線全線運転再開を記念して誕生した新作の1つ。
落ち着いたカラーリングで、温かみのあるスリーブ式の包装が印象的です。
そのなかで、サシが美しく入った常陸牛の赤色が、よく目を引きます。
【おしながき】
・白飯
・常陸牛の焼肉 糸切り唐辛子 ごま
・山うどたまり漬け
・栗の甘露煮
「しまだフーズ」の牛肉駅弁といえば、しぐれ煮が載った「常陸牛 牛べん」に定評がありますが、コチラの新作は、常陸牛をオリジナルのたれで焼き上げた焼肉駅弁。
ふたを開けた瞬間から、フワ~ッと焼肉のいい匂いが漂い、食欲をそそられます。
「しまだフーズ」によると、3月19日現在は、東京駅「駅弁屋 祭」での先行販売中。
今後、水戸駅などでも販売が計画されているということです。
なお、「駅弁屋 祭」では3月31日までこの駅弁の販売と合わせ、「牛べん」の実演販売も行われていますので、まずは食べ比べてみるのがいいかも!?
茨城県内の精肉店の店頭にも、誇らしく掲げられている「常陸牛」の文字。
茨城のブランド牛は、江戸時代の天保3(1832)年に水戸藩主・徳川斉昭公が水戸で黒牛を飼育した歴史を持ち、肥沃な土地と山の恵みによって発展してきました。
常磐線沿線、とくに茨城県北部のお宿などでは、海鮮系の食事が名物になることも多い分、特急「ひたち」の旅のお供には、常陸牛の駅弁が“ぴったし(!?)”かもしれません。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/