安全保障関連法~4年間何も進んでいない憲法改正
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月30日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。施行から4年となる安全保障関連法について解説した。
施行から4年経つ安全保障関連法
安全保障関連法の施行から29日で4年となった。安倍政権が安全保障関連法を整備し、集団的自衛権の行使を一部可能としたのは、日米同盟の役割分担を見直し、より対等な同盟とするため。成立後に大統領となったトランプ氏が在日米軍の駐留経費増額を日本に求めている姿勢に対し、安保法の施行によって在日米軍への協力が増えていることを主張することで、これを拒むとみられている。
憲法改正が4年間進まず、現場の自衛隊員にリスクを押し付けることに
飯田)日米関係がここで変わったと論説する記事も出ています。もう4年経つのですね。
須田)集団的自衛権の行使という点で言えば、現憲法9条を超えてしまうのではないかと、個人的には思います。本来ならば憲法を改正して、集団的自衛権の行使を憲法上で認めた上で、こういう法制ができればよかった。しかし北朝鮮問題など、日本を取り巻く国際情勢等を考えると憲法改正には時間がかかるので、これを先にやらなければ、いまそこにある危機に対して対処できないということで、これが先に進んで来たはずです。ですがこの4年間で、国民投票まで行かないにしても憲法改正が進んだのかと言うと、まったく進んでいない。結果的にそのリスク…例えば実際の戦闘地域になったとき、厳密にはその地域に派遣された自衛隊は撤退しなければいけません。国会の了解があれば、そこにとどまって集団的自衛権の行使ができるような体制にはなっていますが、スムーズにスイッチできるのかと考えると、かなり難しい。結果的に、自衛隊員にリスクを押し付けることになります。それでいいのかという問題が、ずっとついて回っていたはずです。この4年間、政治側が何も動かなかったということが、大きな問題として挙げられると思います。
使い勝手のよくない“集団的自衛権”
飯田)1月にはホルムズ海峡の近くに自衛隊の艦隊を派遣するということに関して、どういう法の立て付けで、何ができるのかという議論がされていましたが、集団的自衛権については一切出て来なかった。結局、つくったけれども使い勝手はよくないということですよね。
須田)悪いでしょうね。現実の事態に対処できないはずなのです。何か問題が起こったときに、結果的に使えないということになってしまうと思います。もう1つ言えば、「地球の裏側まで行って戦争ができるようになる法律だ」と、そういうレッテルを貼りましたよね。では4年間でそういうことが起こったのかどうかについても、反対していた政治家は肝に銘じて考えるべきです。
飯田)当時は自民党のなかでこの法律を進めていて、自民党の高村前副総裁がインタビューに答えていましたけれども、結局そういう事態は起こらなかったではないか、あのときの議論は何だったのだろうと。かえってあのときの議論は、反対していた人たちをこれから先も縛ることにならないか、ということを指摘していました。安全保障の議論は、現実的にどう対処するかということを考えると、右派チックだという批判をされがちで、何もせず平和であることがいちばんなのだと言われる。それはそうなのだけれど、何もしなかったら平和ではなくなってしまうのだということが、なかなか議論として表に立って行かない。
須田)ただ、安全保障は外交とリンクしているわけです。対米外交という点では、「日本もこれだけのことをやります」という姿勢をとったことは、アメリカも「よし」としている部分があります。そこはこの法制のプラスの部分としてあるのだけれど、実際に使う場合、誠に使い勝手が悪いという状況は日本の問題ですからね。外交はいいのだけれども、国内の問題として今後どう受け止めるのかを考えるべきだと思います。
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