エイリアンが地球上を支配!? 衝撃の社会派SF問題作!
公開: 更新:
【Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね 第808回】
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信する「Tokyo cinema cloud X(トーキョー シネマ クラウド エックス)」。
今回は、4月3日に公開された『囚われた国家』をご紹介します。
イギリスの鬼才ルパート・ワイアット監督が、暴走する権力に警鐘を鳴らす!
正体不明の地球外生命体(=エイリアン)に侵略され、その支配下に入ってから9年後となる2027年、シカゴ。
アメリカ政府は“統治者”の“傀儡(くぐつ)”となり、貧富の差はかつてないほど拡大し、街は荒廃。そして市民は、この圧政に対して従属する者と反抗する者に別れていた。
この状況を打ち破り、人類に自由と主権を取り戻そうとする反政府主義者は、レジスタンス・グループを密かに結成。市内のスタジアムで開催される、統治者と政府・富裕層らの団結集会への爆弾テロを計画するが…。
エイリアンによって管理・支配された社会を舞台に、レジスタンスたちの徹底抗戦を描いた近未来SFサスペンス『囚われた国家』。
『猿の惑星:創世記』で、ディストビアSFの名作『猿の惑星』のリブートに成功したルパート・ワイアット監督の最新作が、ついにスクリーンにお目見えしました。
複雑極まりないテロ計画の連絡~準備~決行のプロセスが、緻密かつ緊張感たっぷりに描かれた本作は、主要キャラクターそれぞれが主人公とも言える構成となっているのが特徴。
シカゴ警察特捜司令官マリガン役には、さまざまな作品でいぶし銀の演技力を発揮するジョン・グッドマン。レジスタンスの闘士ラファエル役に、『荒野の誓い』のジョナサン・メジャース。
ラファエルの弟ガブリエル役に、『ムーンライト』で注目を浴びたアシュトン・サンダース。そして娼館のマダム、ジェーン・ドゥ役に『マイレージ、マイライフ』でオスカー候補にもなったヴェラ・ファーミガ。
各々の個性と存在感が際立つ見事なアンサンブルで観客を魅了します。
「社会、政治、環境など、さまざまなレベルで、いま私たちの世界に起こっていることを取り上げ、それを悪化させる要因に目を向けたかった」と、本作について語るルパート・ワイアット監督。
その言葉どおり、ステレオタイプの“SF映画”のように派手な視覚効果に頼ることなく、ストーリー性を重視した見応えある作品に仕上がりました。
近未来SFという形を借りて、暴走する権力の危険性に鋭く切り込んだ野心作です。
『囚われた国家』
2020年4月3日(金)よりイオンシネマほか全国ロードショー
製作・監督・脚本:ルパート・ワイアット
出演:ジョン・グッドマン、アシュトン・サンダース、ジョナサン・メジャース、ヴェラ・ファーミガ
原題:CAPTIVE STATE
(C)2018 STORYTELLER DISTRIBUTION CO., LLC. All Rights Reserved.
公式サイト https://www.captive-state.jp/
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/