ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(4月13日放送)にアセットマネジメントOneエコノミストの村上尚己が出演。OPECプラスが原油減産で最終合意したニュースについて解説した。
OPECプラス、原油減産で最終合意
石油輸出国機構(OPEC)加盟・非加盟の産油国による連合体「OPECプラス」は12日に緊急テレビ会議を開き、日量970万バレルに減産することで最終合意した。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、需要が減ったことで原油価格が急落し、世界生産量のおよそ1割に当たる過去に例のない規模の生産抑制に踏み切る。
飯田)これについてアメリカのトランプ大統領は、「評価する」というコメントを発表しました。原油価格はずっと落ち込み続けて、1バレル当たり20ドル半ばを行ったり来たりというところですが、さすがに産油国も持たないということでしょうか?
村上)多くの産油国は持たないのだと思いますが、サウジアラビアなどは20ドルくらいでも大丈夫だと思うので、国によって違います。アメリカ側はやはり持たないので、トランプ大統領としても、もう少し価格を上げたいということがあるのだと思います。
飯田)コロナウイルスの世界的な蔓延が実体経済も縮こまらせていて、原油の需要が減っているということがあるのでしょうか?
村上)それがいちばんの要因です。原油は経済の先行指数のような動きをしますので、20ドルまで急落しているのは、世界経済全体が100年に1度と言われたリーマンショック以上の経済成長率の落ち込みになる可能性が高い。当然、原油の需要も大きく減って、価格も大きく下がることが起こりうるということです。20ドルの水準は高いか安いかという議論がありますが、経済全体が縮小して行くのであれば、このくらいの価格になってもおかしくないと思います。
飯田)リーマンショック級かそれ以上というお話ですが、リーマンショックのときにはまず金融が変調をきたして、それが実体経済に波及して行きました。今回はある意味、その逆という理解でいいのでしょうか?
村上)今回は災害のようなものが起きて、広範囲にわたって経済活動ができなくなってしまったということなので、種類が違います。必要な政策対応も、リーマンショックのときは金融の問題だったので、金融機関にお金を入れて金融システムを守ればよかったのです。今回は直接、企業と家計に対して広範囲に戻すことが必要だと思います。
消費減税は早急の対策案にはならない~有事の対応が必要
飯田)その戻し方の部分で、いろいろと議論があります。消費税などの減税によってお財布のなかにお金を戻すということは、自民党でも若手を中心に議論していますが、これは手段としてどうなのでしょうか?
村上)手段としてはありだと思うのですが、スピードが問題だと思います。アメリカもそうですが、税率を変えるには時間がかかります。とりあえず、いまやらなければいけないのは非常手段としてやることです。それは税率の変更ではなく、やはり給付金だと思うのです。消費減税に関しては、いまの危機的状況が正常になりつつある状況で、オプションとして考えられるべき対応ではないでしょうか。そこは段階を分けて考えた方がいいと思います。
飯田)まさに有事の対応が必要であり、給付の対応なども普段のスキームで「これはできません」などと言っている場合か、ということですね。
村上)そういう状況だと思います。これに関しては、考えればいくらでもできると思います。
雇用にも大きな影響が予想される
飯田)数字を見ると、いまのところまだ雇用に波及していないのですが、早晩ここにも来ますか?
村上)すでに職がなくなった方もいますし、アメリカと日本では仕組みが違いますが、アメリカの失業率は10%以上になるのが織り込まれている状況です。日本で10%まで行く可能性は低いと思いますが、リーマンショックのときに5%くらいまで上がったようなことが起きつつあると考えてもいいと思います。
飯田)アメリカの場合は、失業保険の申請件数がうなぎ登りに上がっているということも合わせると、日本の場合はなかなか正社員をおいそれと切れない状況ですが、今度は新卒が心配になりますね。
村上)採用活動もなかなかできない状況ですし、このような事態だと企業の利益も減って、採用を絞らねばならないことになっていると思います。残念ながら、労働市場はまた悪化してしまうことになります。それを少しでも和らげるために、政府は早急に対応しなければいけません。
飯田)いま困っている企業を潰してしまったら、この先、人を雇うこともできなくなりますものね。
村上)手元のお金がない規模の小さなところや、日々の売り上げで事業を継続している産業の人たちは苦しいです。人を雇うのは将来に備えてということなので、それに備える余裕のない企業が多くなると思います。ですから、まずは危機対応をしなければならないのです。
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