【ライター望月の駅弁膝栗毛】
紀勢本線・松阪駅と伊勢奥津駅を結ぶ「名松線(めいしょうせん)」。
沿線の市長さんが、自ら「奇跡の名松線」と記すほど、ドラマのある路線です。
国鉄の「赤字83線」「特定地方交通線」となりながら廃止を免れ、平成21(2009)年の台風被害では不通区間のバス転換を打診されるも、地元の熱意で復活を果たしました。
現在は、JR東海エリアではココだけとなったキハ11形気動車が活躍しています。
(参考)広報つ!(2016年8月1日号)ほか
名松線の始発駅・松阪の駅弁を手掛ける「新竹商店」。
長距離の移動はもちろん、外出も厳しいご時世にあっても、駅弁の「通信販売」に対応しているので、自宅から外出しなくても、「駅弁」をいただくことができます。
今回は、「松阪名物黒毛和牛 うま~いどん丼」(1500円)も一緒に注文してみました。
平成13(2001)年10月から販売されている焼肉&そぼろ丼の駅弁です。
「松阪名物黒毛和牛 うま~いどん丼」は、紐を引き抜いて蒸気で温める「加熱式駅弁」。
いつでもどこでも、ホカホカの駅弁をいただくことができるのが嬉しいですね。
なお、通信販売のクール便ですと、加熱式駅弁もかなり“冷え冷え”の状態で届きます。
冷えたまま紐を引き抜くと、発熱材の熱量が不足してしまう場合がありますので、できれば、『常温に戻して加熱』するのがお薦めです。
【おしながき】
・ご飯(三重県産コシヒカリ)
・国産黒毛和牛焼肉
・牛肉そぼろ煮
・錦糸玉子
・紅生姜
・かまぼこ
・ごぼう
・しいたけ煮
・うぐいす豆
・さくら大根漬
新竹商店自信の国産黒毛和牛を使った焼肉丼と、自慢の牛肉そぼろ煮を使ったそぼろ丼がダブルで楽しめる「うま~いどん丼」。
“ドンドンお召し上がりください!”の意味を込めたネーミングだといいます。
蒸気で温まるまで、食べたい気持ちをグッと我慢してからふたを開けると、白い湯気と共に、彩りのある弁当が現れて、その名の通り、箸が“どんどん”進む駅弁です。
平成28(2016)年の名松線全線運転再開に当たっては、地元の皆さんの熱意が大きかったと伝えられています。
JR・自治体を大きく動かしたこの復活を「あきらめない」気持ちには、苦しい状況に置かれた、いまの私たちも気持ちが重なる点が多いと思います。
再び移動が自由になる時期が来たら、改めて足を運びたい名松線です。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/