【ライター望月の駅弁膝栗毛】
山陰本線と山口線を経由して、鳥取・米子~新山口間を結ぶ特急「スーパーおき」。
鳥取を出ると、鳥取大学前、倉吉、米子、安来、松江、玉造温泉、出雲市、大田市、温泉津、江津、波子、浜田、三保三隅、益田、日原、津和野、徳佐、三谷、山口、湯田温泉などに停車(一部通過)し、終着・新山口までは5時間あまりの所要時間。
山陰本線では、ところどころで日本海を望むことができる、のどかな在来線特急の旅です。
山陰本線を駆け抜ける特急列車のように、初夏の日本海を飛んでいくのが「とびうお」。
鳥取では「あご」と呼ばれ、初夏の訪れを告げる味覚として親しまれていると言います。
その意味でもこの時期にいただきたい駅弁といえば、鳥取駅弁「アベ鳥取堂」が製造する「山陰鳥取 あご寿し」(880円)。
もちろん、遠隔地の通信販売にも対応していて、通年でいただくことができます。
(参考)鳥取県ホームページ
【おしながき】
・酢飯 海苔 ごま
・とびうおの酢〆め
・バッテラ昆布
・醤油
・ガリ
漁期は4月~7月で、普通はこの時期を外すと、竹輪でしか食べられないという「あご」。
アベ鳥取堂でもかつては、漁の期間中のみの季節限定販売をしていたそうですが、昭和60(1985)年に冷凍保存に成功し、以来、年間を通して販売していると言います。
酢で〆られたあごはサッパリした味わいで、バッテラ昆布と酢飯の海苔とごまの風味が、いいアクセントになっていて、梅雨の晴れ間のような、ささやかな心地よさがあります。
引き続き、“集まらない、近づかない、閉め切らない”ことが求められる、これからの旅。
より自然やアウトドアを楽しむニーズは、高まっていくのかもしれません。
みんなで一緒に流行っている場所へ行く旅から、自分で考え自分が楽しいことを見つけて、ピークを作り過ぎず、全国各地がいつも、ほどよく賑わい、ほどよく潤っていく旅へ。
1人1人が強い意志を持って、仕事を楽しみ、休みを楽しむ姿勢も求められそうです。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/