届いたメールは、何と伝説のロックスター本人からだった!?
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【Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね 第848回】
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信する「Tokyo cinema cloud X(トーキョー シネマ クラウド エックス)」。
今回は、6月12日に公開された『15年後のラブソング』をご紹介します。
大人になりきれないオトナたちに贈る、ロマンティック・コメディ
イギリスの地方都市、サンドクリフ。郷土史博物館で働く30代後半の女性アニーは、地元の大学で客員教授をする恋人ダンカンと平穏な毎日を送っていた。
仕事もあり、長年一緒に暮らすパートナーもいる。傍目には“安定した”人生のように見えるだろうが、当の本人にとっては、不満があるわけではないものの、何となくモヤモヤする日常だった。
そんな彼女の元に、一通のメールが舞い込んで来る。送り主は、90年代に表舞台から姿を消した伝説のロックスター、タッカー・クロウ。何と、ダンカンがファンサイトを運営するほど心酔しているミュージシャンからだった…。
イギリスの人気作家ニック・ホーンビィの同名小説を実写映画化した『15年後のラブソング』。
いまの生活は嫌ではないけれど、望んでいたわけでもない。だからと言って、人生を変える勇気もきっかけも持ちあわせていない…。そんな“大人になりきれない”男女が織りなす、ロマンティックな大人のラブストーリーです。
ヒロインのアニー役には、『ピーターラビット』のローズ・バーン。周囲に合わせすぎて生活するあまり、自分の人生を犠牲にしてしまう。そんなちょっぴり不幸な女性を、愛らしく、ユーモアたっぷりに演じています。
そして伝説のロック・シンガー、タッカー・クロウに扮したのは、名優イーサン・ホーク。自由気ままに生きて来たダメ男役は、まさに彼のハマり役!
そのワガママっぷりも実にチャーミングで、男女問わず、タッカーという人物に魅了されてしまうことでしょう。
監督のジェシー・ペレッツは、90年代にアイドル的人気を博したオルタナティブ・ロックバンド「レモンヘッズ」の初代ベーシストであり、本作に登場するダンカンのような音楽マニアという一面もあわせ持つ人物。
それだけにストーリーの中心となる音楽ファンの世界を、プレイヤーとファン、双方の立場から抜群の説得力を持って描いており、ポップカルチャーへの強いこだわりが随所に見られるのも本作の面白いところです。
人生のリアルに押し流されながらも、それでも新しい一歩を踏み出そうとするアニーとタッカー。失った時間を取り戻すのに、年齢は関係ない。彼らの行く末を、是非スクリーンで見届けて。
『15年後のラブソング』
2020年6月12日(金)から新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開
監督:ジェシー・ペレッツ
脚本:エフジェニア・ペレッツ、ジム・テイラー、タマラ・ジェンキンス
原作:ニック・ホーンビィ
音楽:ネイサン・ラーソン
音楽監修:マギー・フィリップス
出演:ローズ・バーン、イーサン・ホーク、クリス・オダウド、アジー・ロバートソン、アユーラ・スマート、リリー・ブレイジャー、フィル・ディヴィス、デニース・ゴフ、リリー・ニューマーク
(C)2018 LAMF JN, Ltd. All rights reserved.
原題:Juliet, Naked
公式サイト https://15-lovesong.com/
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/