あけの語りびと

「ひとり出版社」を8年続けられた理由は“生きがい”

By -  公開:  更新:

「ひとり出版社」を8年続けられた理由は“生きがい”

それぞれの朝は、それぞれの物語を連れてやってきます。

「ひとり出版社」を8年続けられた理由は“生きがい”

「ひとり出版社」中山伊知郎さん

出版不況のなか、「ひとり出版社」が話題を呼んでいます。

従業員は自分1人という、『山中企画』を営む山中伊知郎さん。「ひとり出版社」を始めて8年、年に4~5冊のペースで、40冊ほどの本を世に送り出して来ました。

山中伊知郎さんは、昭和29年生まれの、現在65歳。早稲田大学を卒業後、定職につかず、アングラ劇団に入ったりとフラフラしていたそうです。

「26歳のころ、大学のシナリオ研究会に入っていたので、その先輩の紹介で、テレビドラマ『噂の刑事トミーとマツ』や『スケバン刑事』の脚本を書いていました。でもシリーズの途中で、キミには無理だと言われ、どっちもクビに…。それから、『週刊プレイボーイ』や『週刊アサヒ芸能』などの週刊誌で記事を書いていたのが30代。40代からは単行本のライターとして、いろいろなジャンルの本を出していましたね」

山中さんは放送作家をされていた時期もあり、永六輔さんのラジオ番組で11年もレポーターを務めた他、毒蝮さんや、赤塚不二夫さんにも可愛がってもらっていたそうです。

「ひとり出版社」を8年続けられた理由は“生きがい”

赤塚不二夫さんとの交流も

さらに、お笑いのプロダクションを始めて「お笑いライブ」を開催しますが、お金だけが出て行き、「このままでは貯金が底をつく」と、お笑いビジネスから撤退。気がつけば57歳、還暦も間近となった8年前に、ひとり出版社を始めます。

「出版社へ企画を持ち込むと、通るか通らないか、じっと待つだけ。だったら自分の好きな本をつくろう! となったんです。まずは企画を立て、取材・執筆し、デザイナーや印刷所へ指示。本ができたら営業活動です。自分で制作費を出し、売上を回収…赤字になるかトントンか、スリルの連続ですよ」と笑います。

8年前、最初に出した本が、浅草芸人の人生を描いた『中二階の男 チャンス青木』という本でした。

初版1000部の半分は、ファンや友人が買ってくれるだろう。帯の推薦文を売れっ子の「ナイツ」に書いてもらったので、若いお笑いファンも買ってくれるだろう。波に乗れば完売もあり得る…と目論みますが、蓋を開けると制作費も回収できず、在庫だけが残りました。「ひとり出版社」は、自己満足では続かないと悟るのです。

「ひとり出版社」を8年続けられた理由は“生きがい”

『週刊アサヒ芸能』で連載中の記事

ところが、2冊目の本の企画でチャンスが訪れます。「人は脳ではなく、腸で物事を考えている」という妙な説を唱える、長崎のお医者さんに人の紹介で出会います。

半信半疑だった「脳より腸」という東洋医学の魅力を知り、『「心の病」は腸を診れば治る!?(長崎発・東洋医学医師 田中保郎の挑戦)』を出版。

すると、この本がテレビで紹介され、注文が次々と舞い込みます。トータルで、3刷・5000部! あの〝腸内フローラ〟ブームにも乗りました。

「田中先生との出会いがなければ、『ひとり出版社』は8年ももたなかった。こんな出会いがあるのが『ひとり出版社』の醍醐味」と、山中さんは言います。

「ひとり出版社」を8年続けられた理由は“生きがい”

永六輔さんの原稿

お笑い関連本、健康本、ビジネス本、音楽関係の本など、いままで出した本のジャンルは多岐に渡ります。しかし、「ひとり出版社」は広告・宣伝・営業力がありません。書店を回っても、めったに新刊コーナーには並べてくれません。

そこで、講演会やライブでの直接販売…つまり「手売り」です。仙台でライブがあるからと新幹線に乗って出かけ、最低でも20冊、できれば50冊を「手売り」するつもりが、5冊しか売れず…。交通費も出ず、泣くに泣けない日もありました。

この波乱万丈の8年間を振り返り、このほど飯塚書店から『「ひとり出版社」は人生の楽園』という本を出しました。山中さんはこの本のなかで、何よりも大事なのは「生きがい」と書いています。

「この仕事をやることで、『生きていてよかった』と実感できる。そこに意味がある。65歳になり、国民年金だけで、楽ではない。楽ではないけれど、楽しい! 自分が汗を流してつくった本が形になる。電子書籍では味わえない喜びが、そこにあるんですよ」

「ひとり出版社」を8年続けられた理由は“生きがい”

「山中企画」で出された出版物など

■『「ひとり出版社」は人生の楽園』
著:山中伊知郎
出版社:飯塚書店
価格:定価1500円(税別)

■山中企画のホームページ
http://www.yamanaka-kikaku.com

■『「ひとり出版社」は人生の楽園』発売記念「山中企画フェア」を開催
日時:2020年7月22日(水)~7月27日(月)
会場:青猫書房(東京都北区赤羽2-28-8)

番組情報

上柳昌彦 あさぼらけ

月曜 5:00-6:00 火-金曜 4:30-6:00

番組HP

眠い朝、辛い朝、元気な朝、、、、それぞれの気持ちをもって朝を迎える皆さん一人一人に その日一日を10%前向きになってもらえるように心がけているトークラジオ

Page top