それぞれの朝は、それぞれの物語を連れてやってきます。
真っ白なTシャツが気持ちのいい季節になりました。「コットン100%」は肌触りがいいですよね。英語ではコットン、日本語では植物としての呼び名は「ワタ」で、製品になると「メン」と呼ばれます。
そもそもワタが日本に伝わって来たのは、799年の平安時代、現在の愛知県にインド系の青年が漂着し、持っていたワタの種を日本で植えたのが始まりとされています。
ただ、この種は日本の気候にうまく適さず、その後、大陸から別の品種が伝わって日本に広まりました。
明治時代には国策としてワタが増産され、綿織物の輸出量が世界一だったこともありました。ところが戦後、安いアジア産に押されて生産が減少し、いまではほぼ100%を輸入に頼っています。
「ですから、ワタがどのように育ち、どんな花が咲くのか、見たこともない人がけっこう多いんですよ」と言うのは、オーガニックコットン総合ブランド『メイド・イン・アース』の代表・前田剛さん、58歳。
オーガニックコットンとは、有機栽培のワタのこと。
「コットンは、製造工程でも多くの化学薬剤が使われていて、あの白さもワタの天然の色を脱色したり漂白したもので、本来の色は〝きなり〟というオフホワイトなんですよ」
前田さんがオーガニックコットンを知ったのは、26~27年前。子どもの笑顔に携わる仕事がしたいと思っていたとき、知人の紹介でオーガニックコットンと出会いました。
知れば知るほどオーガニックコットンのよさを感じた前田さんは、栽培から製造まで天然100%のコットン製品を扱う『メイド・イン・アース』というブランドを立ち上げ、自由が丘のお店では、タオル、寝具類、雑貨、小物、布ナプキンの他、洗剤・石鹸、国産の家具も取り揃えています。
「お店を始めたころは、割高だし、なかなか売れませんでしたね。『食べものじゃないのに、なぜオーガニックにこだわるの?』といった声も意外と多かったです」
「継続は力」とは、前田さんの好きな言葉です。
「環境の変化なのか、皮膚のトラブルで悩んでいる方が多く、オーガニックコットンのよさを肌で感じていただけるようになって、次第にお店のファンが増えて行ったんですよ」
この3月下旬から、新型コロナウイルスの感染防止のためにお店を休んでいますが、「この機会に自宅でワタを育ててみては?」と、『和綿プロジェクト』を展開しています。
「地球に優しいオーガニックコットンを身近で育てることは、子どもたちの未来につながると思うんです」と、前田さんは言います。
ワタの種は10粒ほどで110円。栽培方法も付いて販売中です。種まきは5月~6月で、プランターでも育てられます。1~2週間ほどで芽が出て、8月ごろに見事な花が咲きます。
ワタの花を見たことはあるでしょうか? アオイ科の植物で、ハイビスカスのような黄色い花を咲かせます。秋には実が膨らみ、その実が割れると、種を包むようにふかふかのワタが姿を見せます。
「そのままドライフラワーにするのもいいし、ワタを摘んでクリスマスツリーに、雪のように飾るのもいいですよ。この時期の種まきからクリスマスまで、ワタの栽培が楽しめますよ」
ワタに魅せられた前田さんへ、「好きなのはTシャツですか?」と伺うと…。
「そうですね…これから蒸し暑くなるので、綿(めん)のシーツに、綿のタオルケット、これで寝るのが最高ですよ!」
■メイド・イン・アース
https://www.made-in-earth.co.jp
*メイド・イン・アース自由が丘店
住所:東京都世田谷区奥沢7-3-10 T-STYLE自由が丘1F
※お店は6月1日から営業を再開します。しばらくの間、12:00~18:00の時短営業を予定しています。
(水曜定休、年末年始休)
■『和綿プロジェクト』
価格は110円(10粒ほど)で、栽培方法を説明したリーフレットも付きます。
番組情報
眠い朝、辛い朝、元気な朝、、、、それぞれの気持ちをもって朝を迎える皆さん一人一人に その日一日を10%前向きになってもらえるように心がけているトークラジオ