コロナ対応予算は別枠~麻生財務相、概算要求方針を示す
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月22日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。財務省が公表した来年度予算編成に向けた概算要求について解説した。
財務省が来年度予算編成に向けた概算要求の方針を公表
麻生財務大臣)来年度における予算をはじめとする対応については、概算要求の段額で予算額という数字を決めることはせず、その仕組みや手続きをできるかぎり簡素なものにすることといたします。
財務省は7月21日、来年度の予算案の編成に向けた概算要求の方針を公表した。それぞれの省庁が要求する額を基本的に今年度予算と同額とした上で、新型コロナウイルスに対応する予算は、上限を設けず別枠の扱いにするとしている。
飯田)今年(2020年)もまた100兆円を超えると。
高橋)マスコミはそう書きたいのでしょう。だいたい毎年増えるのですが。
飯田)物価も上昇していることを考えれば。
概算要求を予算折衝で減らすのは5%くらい
高橋)概算要求は1つの節目になっています。通常は8月末が締め切りですが、今年は9月です。概算要求というと、要求省庁と財務省のバトルが行われるように思うかも知れませんが、そんなことはありません。要求省庁の会計課が要求するのですが、そこには財務省の人が出向して来ているのです。概算要求をやってその都度、省庁のなかで会計課と要求課が話をするのですが、そのときにかなりできるのです。
飯田)すでにそこで、だいたいの折衝が済むのですか?
高橋)95%くらいはこれでおしまいです。
飯田)自分のところの省庁のなかでも。
高橋)自分のところの省庁のなかでやって、財務省と会計課の人が話せばだいたい決まります。予算の9割は前年と一緒です。その意味では、予算はだいたい続きます。たまにやめてしまうこともありますが、だいたいは無駄でも毎年続きます。「100兆円の攻防」などと言いますが、そうではなくて上澄みの部分、少しの額の話です。概算要求は5%くらいを予算折衝で減らすということが、ほとんど決まっています。
飯田)それを見越して、要求するときも5%くらいプラスで出すのですか?
高橋)そうでないと、削ったときに仕事している感じになりません。つまらないと言えばつまらないですよ。
飯田)100兆あって5%だから、5兆円くらいは削り込むということですね。
高橋)そのレベルです。他のところはだいたい継続します。
飯田)予算編成の度に、「目玉はこれだ」というようなものが出て来ますよね。そういうことも、すでに決まっているのですか?
高橋)だいたい決まっています。最後の年末までの政治折衝があるでしょう。そういうものは、この段階で決まっています。「これは大臣マターにしよう」とか。
予算編成と「骨太の方針」はリンクしない
飯田)概算要求からの予算編成の流れと、前段にある「骨太の方針」との関係はどうなっているのですか?
高橋)本当はリンクしなければいけませんが、もともと財務省の予算編成はマクロ経済を意識していないのでリンクしていません。本当はマクロ経済をもう少し意識して予算編成を組んだ方がいいのですが、財務省の場合、マクロ経済の話になると税収を読まれてしまいます。読まれると予算編成上やりにくいので、マクロの話は隠してやります。
飯田)マクロに効く税制というと、消費税とか。
高橋)マクロ経済の話をするとすぐ「減税しろ」という話になるので、なるべくマクロ経済とリンクさせないというのが、いままでのやり方です。はっきり言えばそこが変です。
飯田)あの骨太の方針で、経済財政諮問会議が力を持っていたときは、それを変えようとしていたのですか?
高橋)変えようとしたのですが、できませんでした。力を持っているときですら変えられなかった。せいぜい内閣の試算を要求の前に出すということくらいしかできません。
飯田)経済政策基本方針の年央試算がありますよね。
高橋)あれを少し前に倒したということが、諮問会議が最強のときにできたことです。
飯田)そのくらい岩盤は分厚いということですね。
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