日本にしかできない“折衷案”~東京23区は営業時間短縮要請延長
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月28日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。東京23区で飲食店などの営業時間短縮が延長されたニュースについて解説した。
飲食店などの営業時間短縮、東京23区は9月15日まで延長
小池都知事)いまの段階で緩めることなく、引き続き23区内におきましては、お酒を提供するお店、そしてカラオケ店に、夜10時までの営業時間の短縮を要請いたします。事業者あたり一律15万円の協力金を支給いたします。
東京都は8月27日、新型コロナウイルスの対策本部会議を開き、酒を提供する都内の飲食店やカラオケ店に要請している午後10時までの営業時間の短縮について、23区内は9月15日まで延長することを決めた。一方、23区以外の多摩・島しょ地域は、予定通り8月31日に要請を解除するということだ。
飯田)営業時間の短縮に応じた事業者には、協力金として15万円を支給と。1日あたり1万円という計算になります。
政治判断の難しい問題
宮家)私は感染症の専門家ではないので、それを割り引いて聞いていただきたいのですけれども、これは難しい政治判断だと思うのです。全部の要請解除をしたい人はたくさんいると思うのですよ。同時に「まだまだだろう」と言う人もいるはずで、折衷案を取らざるを得なかったのだと思います。そこでたまたま23区と、それ以外ということになったのでしょう。いい意味で、こんなことは日本でなくてはできませんよ。強制力がないのですから。協力金なわけでしょう。この程度で済んでいるのは、奇跡とまでは言いませんが、普通の国であればとてもできません。強制力をかけてもマスクをしない人たちがいるのですから。
飯田)そうですね。諸外国を見ると。
宮家)言っていいのかわかりませんが、例えば、吉祥寺に行けば夜遅くまで飲めてしまうわけです。そういう意味では一般の人にはわかりにくいかも知れませんが、23区の方はたまらないですよね。1日に1万円しかもらえないのでしょう。何十万円も売り上げがあるかも知れないのに。そう考えると、難しい判断です。医療関係者から見たら、「まだ早い」と言う方も多いと思います。しかし、ビジネス面からすれば解除は当然だと、もっと早くやって欲しいという気持ちもわからないではない。政治判断ですよね。
影響を受けるのは飲食店だけではない
飯田)現場の方々から、メールやツイッターでたくさんのご意見をいただいています。“よちよちかもめ”さん、北区の67歳の方から。「私は習いごとの教室をしています。夕方から夜にかけて、生徒さんが通って来てくれるのですが、営業時間の変更はもう勘弁して欲しいです。飲食店のみならず潰れてしまいます。そのたびに生徒さんへ変更のお願いをしているのですが、どんどん人数が減って行ってしまうのです」と。
宮家)切実ですね。
飯田)やはり、それに合わせてというところは当然ありますよね。また、川崎市の“くりちゃん”さん、43歳の会社員の方から。「時短要請は簡単ですけれども、当事者のことを考えると、15万円の支給ではどう考えても足りないですよね。中小の飲食店のよさを消して欲しくないです。チェーン店とはまた違ったアットホームさを感じるのですよね。苦しんでいる切実な内容に、都はきちんと耳を傾けてもらいたい。なくなってしまうお店がないように祈りたいです」といただきました。
宮家)その通りですね。しかし、耳を傾けた結果の判断だと、私は思いますけれどね。
年代別の対策は正論だが難しい
飯田)それから、コロナ対応全般についてのメールです。“ハンカチおじさん”さんよりいただきました。「年代別でリスクがまったく異なることが明らかになっているのであれば、年代別の対策を徹底するべきではないでしょうか。例えば、50歳未満は活動に制限なしで、50歳以上の方や高齢者と同居している場合は、感染状況次第で会食や外宿に制限をかけるなど。50歳以上は会社でもいちばん力を持っている世代なので、納得が得られにくいとは思いますが……」といただきました。
宮家)正論です。正論ですが、実施は難しいですね。
飯田)東京都医師会などは、年代別に切り分けて対策することを提言していますが、政治的に……。
宮家)飯田さんは若いからいいけれども、私は67歳ですから、危ないのですよ。
飯田)そこをどうするのか。やはり政治は難しいですね。
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