黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に防災・危機管理アドバイザーの山村武彦が出演。災害時の連絡手段について語った。
黒木)今週のゲストは防災・危機管理アドバイザーの山村武彦さんです。災害が起きたときの連絡手段で、最も有効なものは何でしょうか?
山村)家のなかにいらっしゃる時間帯ならよいのですが、家族が離れ離れになっているときだと、LINE(ライン)、フェイスブック(FB)、ツイッターのようなソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を利用して対応することができます。一般の電話は回線のキャパシティがあります。特に音声電話の場合には、多量の通信による混乱を防ぐため、通信規制がかけられる可能性があります。そうなると、ほとんど混乱状態になってしまいます。ただ、通信する携帯がパケット通信という、いわゆるデータ通信の場合には、比較的時間がかかっても相手につながります。メールやLINEを通じて連絡を取る仕組みにしておくといいでしょう。事前に家族全員がアプリを入れて、連絡できるようにしておきましょう。その他、災害伝言ダイヤル「171」があります。「いない(171)」と覚えてください。
黒木)171ですね。
山村)スマホや携帯のキャリアの方でも、連絡方法の提供サービスをしていますので、確認してください。171にかけるときはIDが必要なのですが、自宅の固定電話の番号がIDになります。それを両者が行えば、一定のメッセージをお互いに吹き込んだり、聞いたりすることができます。
黒木)家の固定電話がない方は使えないということですか?
山村)いまはそうです。災害伝言ダイヤル以外にもいろいろありますので、各キャリアが出している安否確認のサービスをチェックしてください。ネットでは「web171」というものがあります。携帯やスマホでもそこに入り、メッセージを確認したり、連絡することができます。被災地のなか同士、また被災地に向かって電話をかけると、混乱状態ですのでかかりにくいです。ところが被災地の外、被災地以外の府県にかける分には、規制は受けません。特に公衆電話からかけようとしたときには、離れた親せきや知人宅を中継基地として、お互いがそこに連絡を入れれば安否確認ができます。それを「三角連絡法」と言うのですが、そういうことも含めて普段から家族同士で、いざというときの緊急連絡方法を決めておくといいと思います。
黒木)日ごろから持ち歩くような、最小限の防災用品というものはあるのですか?
山村)そうですね。私はいつも持ち歩いているものがあります。こんな小さな入れ物のなかに、マスク、体温計、充電器、チョコレートなどの一式が入っています。この前、新幹線が立ち往生したときには、これが役に立ったりしました。携帯用のトイレなども入っています。いざというときに、自分で必要だと思うものをイマジネーションして、準備をしてください。だいたい100円ショップで売っているようなもので間に合ってしまいます。
山村武彦(やまむら・たけひこ)/防災・危機管理アドバイザー
■1943年、東京都出身。防災システム研究所所長。
■1964年、学生時代に遭遇した「新潟地震」でのボランティア活動を契機に、防災システム研究所を設立。
■その後、50年以上にわたり、世界中で発生する災害の現地調査を250ヵ所以上で実施。
■その知見を活かし、報道番組での解説や3000回以上の日本各地での講演、執筆活動などを通じ、防災意識の啓発に取り組む。また、多くの企業や自治体の防災アドバイザーを歴任し、BCP(事業継続計画)マニュアルや防災マニュアルの策定など、災害に強い企業、社会、街づくりに携わる。実践的防災・危機管理の第一人者。
■座右の銘は「真実と教訓は、現場にあり」。
■著書は『感染症×大規模災害 実践的 分散避難と避難所運営』(ぎょうせい)、『災害に強いまちづくりは互近助の力 ~隣人と仲良くする勇気~』(ぎょうせい)など多数。
番組情報
毎朝、さまざまなジャンルのプロフェッショナルをお迎えして、朝の活力になるお話をうかがっていく「あさナビ」。ナビゲーター:黒木瞳