新型コロナウイルスがバイデン氏の「追い風」になったワケ~アメリカ大統領選

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月6日放送)に国際政治学者の高橋和夫が出演。バイデン氏が史上最多得票を獲得し、有利に進んでいるアメリカ大統領選挙について解説した。

新型コロナウイルスがバイデン氏の「追い風」になったワケ~アメリカ大統領選

「スーパーチューズデー」で予備選が行われた米カリフォルニア州ロサンゼルスでの集会で、聴衆に笑顔をみせるバイデン前副大統領=2020年3月3日 写真提供:産経新聞社

アメリカ大統領選~バイデン氏が史上最多得票を獲得、トランプ氏は法廷闘争に持ち込む考え

アメリカ大統領選挙の民主党候補バイデン前副大統領の得票が、11月4日までに歴代の大統領選で初めて7000万票を超えて史上最多となった。開票は続いており、さらに増えるのは確実だ。これまでの最多記録は民主党のオバマ前大統領が初当選した2008年の選挙で、およそ6950万票だった。開票が進む郵便投票は民主党支持層の利用が多いとされていて、共和党のトランプ大統領はミシガンなどの3つの州で集計停止を求め法廷闘争に打って出ている。

飯田)得票数に関して言うと、このまま行くとトランプさんも最多になり、「最多得票でも負けた人」になる可能性も出て来ているということです。

新型コロナウイルスがバイデン氏の「追い風」になったワケ~アメリカ大統領選

4日、アメリカ大統領選の開票が進む中、デラウェア州で演説する民主党のバイデン前副大統領(左、ゲッティ=共同)とワシントンのホワイトハウスで演説する共和党のトランプ大統領(ロイター=共同) 写真提供:共同通信社

新型コロナの影響で郵便投票が増え、これまで選挙に参加できなかった人も加わることに

高橋)これまでの例ですと、オバマさんが勝ったときも、投票率は6割くらいでした。今回は66%という数字がもう出ていますから、そういう意味では最多ですよね。民主党も共和党も一生懸命動員したということもあるし、これまで、貧しい人は選挙に行きにくかったのです。投票所までの車を持っていない、あるいはレストランでウェイターをやっていると、投票に行くとその日のチップが得られなくなるから行けないというような人が多いのです。しかし、そういう人たちも郵送だと選挙に参加しやすい。変な結果ですけれども、新型コロナのせいで、みんなが郵送をし始めたということが、こういう結果を生んでいるということです。パンデミック自体は不幸ですが、いい結果も出ているのですね。民主主義ですから、たくさんの人が投票するのは素晴らしいことだと思います。

新型コロナウイルスがバイデン氏の「追い風」になったワケ~アメリカ大統領選

2020米大統領選 バージニア州の投票所で、投票受け付けに向けた準備を進める関係者ら=2020年11月3日 写真提供:産経新聞社

郵便投票の開票に時間がかかる理由

飯田)昨日(5日)の段階で、まだ結果が出ていないところが5~6州あり、メディアによっていろいろな捉え方をされていました。特に、アリゾナ州は「バイデンさんが勝った」というところもあれば、「まだスイングしている」と書いているところもありました。一夜明ければ結果が変わるのではないかと思っていましたが、変わらないですね。

高橋)基本的に、バイデンさんが勝っているところは、今後数えられる郵送投票も民主党が多いと見られていますから、バイデンさんがさらに票数を伸ばして行くと。ただ、これで確定というところまでは、まだ来ていません。たくさんの郵便が来ているのだから、事前に開封して処理くらいしておけばよかったのに、「投票日まで手をつけてはいけない」と共和党が反対したので、いきなり何百万票も処理しなければいけないのです。コロナ対策でみんなマスクをしてフェイスシールドをして、大変ですよね。初めてのこともあって、時間がかかっているのだと思います。現場は本当に大変ですよね。

飯田)不正投票があったのではないかとか、突然票が増えたのは一体どういうことかなど、ネットにも虚虚実実いろいろなことが出ています。しかし、日本にいては確認のしようがありません。

高橋)アメリカで「実際にこれが」という現場の証拠などは出ていませんし、ネットに「開けたら、急に9割がバイデン票なんてあり得ないだろう」と書いている人がいましたが、ある特定の地域から郵便が来たとしたら、例えば、道頓堀から来たら、9割阪神ファンだっておかしくないではないですか。

飯田)そうですね。

新型コロナウイルスがバイデン氏の「追い風」になったワケ~アメリカ大統領選

米大統領選が開票  2020年11月3日、米カリフォルニア州のバーで開票速報を見る人たち(ロイター=共同) 写真提供:共同通信社

ネット社会が生み出したメディア状況の影響

高橋)自分の常識でアメリカを測ることではなく、現場を抑えている記事を読まないといけない。しかし、アメリカでは、ネットの普及で新聞社がたくさん潰れてしまって、ローカル紙が少ないのです。だから、ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストなどの記事に頼ることになる。ニューヨークやワシントンにいるエリートがときどき行っても、細かなところまでは取材できません。現場に張り付いていつも見ている人が、「実はこうだ」と書いてくれることが必要なのです。ネット社会が生み出したメディア状況が、「世論調査があまりあてにならなかった」という背景には、あるのではないでしょうか。

飯田)大手紙はいまも残っていますが、「この街に1つ」という新聞がなくなっているという話がありますよね。

高橋)私も、ノースダコタ州のトランプさんが強いところで、小さな新聞社の社長さんにインタビューをしたのですが、「あなたはトランプ支持ですか?」と聞いたら、「いや、私は伝統的に共和党支持です」と。インテリ的には、「トランプを支持している」と言うことは格好が悪いのですよ。だから言わない。そういうところが、世論調査に引っかからないのだろうなと、4年前も思ったのですが、今回も思いました。

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FM93/AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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