SDGs推進への第一歩「ユニバーサルマナー」とは
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月5日放送)にユニバーサルマナー検定講師の原口淳氏(株式会社ミライロ)が出演。ニッポン放送がフジテレビ、BSフジと共に国際社会共通の目標である持続可能な開発目標(SDGs)について考えるプロジェクト「楽しくアクション!SDGs」。今回は「ユニバーサルマナー」について、新行市佳アナウンサーがレポートした。
新行)SDGsには17の目標がありまして、ユニバーサルマナーとは多くの関連性があるのですよね。そのなかでも特に8つ目の「働き街も経済成長も」という項目、「包摂的かつ持続的経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と、働きがいのある人間らしい雇用を促進する」ここに注目したいと思います。
新行)わたくし新行は、去年の夏ごろにもユニバーサルマナーについて番組のなかでご紹介したのですが、改めてユニバーサルマナー検定の講師をされている株式会社ミライロの原口淳さんにお話を伺いました。その模様をお聞きください。
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新行)改めて、ユニバーサルマナーについて教えていただけますか?
原口)ユニバーサルマナーは、障害のある方やご高齢の方、多様な方々への向き合い方というところをお伝えしています。そして、このユニバーサルマナーの定義なのですけれども、自分とは違う誰かのことを思いやり、適切な理解のもと行動することであると私たちは定義づけています。
例えば、私は実は生まれたときからまったく目が見えないのですけれども、みんなそれぞれ違うと。だからこそ、そうした自分とは違う誰かのことを理解する、そして理解のもと行動するということが大前提として必要であると考えています。そして、いまご存知の通り日本は高齢化、ご高齢の方が多くなっている。また障害のある方も外出をしたり就職をしたりする機会が増えています。そんな現代においては、特別なことでもないと。
新行)なるほど。例えばそういうユニバーサルマナーを学ぶことによって、SDGsとしてはどんな目標に貢献できますか?
原口)SDGsの目標のなかで、障害のある方やジェンダー、ユニバーサルデザインに関する目標が6項目あるのです。そういったものを達成していく上でも、ユニバーサルマナーというのがまず私たちができる第一歩かなと考えています。
新行)ユニバーサルマナーは例えばどういった職業の方に教えることが多いですか?
原口)当初はやはり接客業の方が多かったです。
新行)ホテルとかでしょうか。
原口)そうですね。ホテルとか、結婚式場とかも多かったのです。理由としては、やはり障害のあるお客様、ご高齢のお客様がたくさんやってくる、そういうお客様に満足していただくために受けていただくことが多かったのですが、最近では実際にあまり障害のある方やご高齢のお客様と接しない、IT企業さんなど幅広い企業さんにユニバーサルマナーを受講していただく機会が増えました。理由としては、実際に多様な方々が同じ職場で働く機会が増えると。そういった方々とともに働いていくために、ユニバーサルマナーを受けているというお話をよく聞いております。
しかし、いま課題となっているのが、障害のある方の職場定着率が低いということが言われています。
新行)そうなのですね。
原口)はい。数字で言うと、健常者の方で見ると、職場定着率は大体85%くらいだと言われているのですが、身体障害の方で言うと、大体60.8%。その原因として、なぜ定着しないのか、人間関係がなかなかうまくいかなかった、それがうまくいかなかったことでいづらくなってやめてしまうというケースが多いと言われています。ここで重要になってくるのが、1人1人とのコミュニケーションなのですよね。コミュニケーションをよりよくしていくことによって、障害のある方も働き続けられる環境ができていくという風に考えています。多様な方々と接するたくさん機会があると思います。そういったときに、まずは少し声をかけてみる。その一歩から始めていただく、そういったところから実践をしていただければなというふうに思っています。
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新行)はい。ということで、お話を伺った原口さんは、視覚に障害があるのですが、以前営業の仕事をされていて、そのときは「自分は何でもできます」と最初おっしゃっていたそうなのです。そして周りの人もそうなのだと思っていたと。
しかし、作業によってはどうしても時間がかかってしまうものがあって、そんなときに同僚からどうやって仕事をしているのかと話しかけられたことがあって、「自分はこういう仕事の仕方をしているのだ」ということを伝えたら、「ここは時間がかかるけれど、ここは得意なのか」というところで気づきがあって、職場のなかで原口さんにはこの仕事をメインに頑張ってもらって、他の人たちは原口さんが少し時間がかかってしまう分野を担当しようというふうに役割分担ができたそうなのです。原口さんは得意な電話でアポイントメントをとるテレアポの仕事をメインにされていたとおっしゃっていました。そういった気づきがいまにつながっているともお話しされていました。
新行)ユニバーサルマナー検定のお話を伺っていると、級によっては実際に車椅子に乗ってみたり、アイマスクをしてみたり、車椅子に乗っている方の段差を乗り越えるときにどういうおし方をしたらいいか、どう持ち上げたらいいかとかそういった部分も学ぶことができるということなのですよね。
飯田)なるほど。12月にも新行さんがレポートしてくれたときに、コロナ禍でリモートだとか人と接する機会が非常に減ってしまうというなかでどうしていくのかという話もしていましたが、まさに第一歩、“声かけ”からというのがより重要になってくるのでしょうね。
新行)そうなのですね。
飯田)しかし、自分の思っていることを言語化するというのは、人によって得手不得手あると思うのですが、見ていると我々も『ラジオ・チャリティ・ミュージックソン』(※注)を中心にして、目の不自由な方と接する機会があると、ポジティブに言葉を出していくというところでは一日の長があるなと思ったりします。表情などで語るというよりも、自分の言葉できちんと伝えるということを日頃から実践されている分、原口さんもテレアポの仕事が得意というのも、そうなのだろうな!と思いますよね。
新行)やはり感じましたか! そうなのです。お話を聞いていて、すごく面白い話がたくさんあったので、編集しないといけないのがもったいないと。
飯田)そうだよね! だから、声をかけてみるとこの人すごく面白いなとか、すごく喋れるなという人もいるのですよね。
新行)ええ。
(※注:ラジオ・チャリティ・ミュージックソンは、目の不自由な方たちが、「安心して街を歩けるように」ということを目指し、『音の出る信号機』や、目の不自由な方の社会参加につながるアイテムを一つでも増やすための基金を募るキャンペーン活動)
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