東京都医師会理事で「鳥居内科クリニック」院長の鳥居明氏が4月13日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。新型コロナウイルスワクチンに対し、世間から誤解されている点について解説した。
飯田浩司アナウンサー)今回は、根本的なワクチンへの誤解を解き明かしていただこうと思っております。新型コロナワクチンについて、「コロナウイルスを培養して体のなかに入れるのではないか」と思っている方がいますが、今回接種が開始されたものは、そうではないということですか?
鳥居)まず、ファイザーのものはそういう形ではありません。普通のワクチンであれば培養していて、例えば麻疹や風疹などは生ワクチンです。インフルエンザなどは不活化ワクチンといって、体に害のない状態にして接種します。今回はmRNAという、タンパク質をつくる設計図になるようなものを注射して、筋肉内でタンパクをつくり、それによって抗原反応を起こすという方法になります。ワクチンと言ってもウイルス自体を入れるわけではないので、非常に安全性があるということと、早く製造できるという特典もあります。
飯田)mRNAというのは、ある意味で遺伝子の一種というか、そういうものであろうと思うのですけれども、「体のなかに入れていいものか」とためらってしまう方もいると思います。その辺りはいかがでしょうか?
鳥居)スパイクタンパクという、入り込むところのタンパクをつくる遺伝子情報が入っているのですが、筋肉に移されると、そのままそこで産生して、そのあとは消えてしまいます。局所で働き、局所で産生して抗原になるという形でワクチンの働きをしますので、そのあともずっと残るということはありません。全身に及ぶこともないと言われていますので、安心して打っていただけると思います。
飯田)筋肉の部分でつくられるのですね。
鳥居)今回は筋肉注射で、肩のところに打ちます。痛みなどがいろいろと問題になりますけれど、逆に肩に打った方が痛みが少ないということと、筋肉のなかには抗原提示細胞や樹状細胞が多く含まれていますので、より効き目があるということで筋肉注射になっています。
飯田)欧米を中心に治験データも出て来ていて、9割以上の効果があるというデータもあります。一方で、アジアの方たちに対してはどうなのでしょうか?
鳥居)治験はやはり欧米を中心にやっています。なかでもイスラエルのデータなどでは、接種率が上がると発症がぐっと減るとされており、最近だとイギリスやアメリカでも重症化及び死亡者の減少が認められています。日本で使う場合にも、必ず有効性と安全性を確立してから皆さんに打つような形になっていますので、その点は安心していただければと思います。
新行市佳アナウンサー)このワクチンは、一度コロナにかかった方でも接種したほうがいいのでしょうか?
鳥居)理論的には、一度かかっていれば抗体は産生されていると言われていますが、全員がはっきりわかっているわけではないので、打っていただいたほうが安全だと思います。
新行)そして新型コロナワクチンは、「打てばコロナにかからない」というわけではないのですよね。
鳥居)2回打って2週間経った場合には、抗体が産生されると言われているので安全ではあるのですが、100%ではありません。打ったあとに感染している方もいらっしゃいますので、必ず予防策は取っていただいたほうがいいと思います。症状がなくても、感染していて他の方にうつす危険性は存在しますので、ぜひ防御策は守っていただきたいです。
飯田)「自分はワクチンを打ったのだから、もうマスクなんて必要ない」ということではないのですよね。
鳥居)そうです。理論的には、60~70%以上の方がワクチンを打てば集団免疫が獲得できると言われていますが、まだまだそれは先のことですので、当分は十分に注意していただいたほうがいいと思います。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます