東京都医師会理事で順天堂大学総合診療科教授の小林弘幸氏が5月28日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。「肺活」における効果的な呼吸の仕方と、トレーニング方法について解説した。
飯田浩司アナウンサー)肺を鍛える「肺活」には鼻呼吸がいいということですが、体を動かすことでできるトレーニング方法はありますか?
小林)皆さんももちろんそうなのですが、最近ではオリンピック代表候補の陸上の方たちや、プロ野球方面などでもやっていただいています。質のいい血液が流れれば、パフォーマンスにも関係して来るのです。今回は簡単な呼吸の仕方と、1つだけトレーニング方法をお教えします。
呼吸の仕方はシンプルです。鼻から3~4秒で吸って、口から倍の6~8秒かけて吐くという、「1対2の呼吸法」をやっていただきます。できれば起床時と寝る前、1分でもいいので集中してやっていただきたいです。もう1つは、胸郭のトレーニングとして、足を肩幅くらいまで開いて真っ直ぐ立ちます。そこから両手を頭の上に真っ直ぐ伸ばしていただいて、手首を交差させます。鼻から息を吸いつつ、腕を上へグッと伸ばします。その状態で手首を交差させたまま、口からゆっくりと息を吐きつつ、体を右方向にゆっくり倒します。今度は息を吸いながら正面に戻していただいて、同様に、左に息をゆっくり吐きながら倒します。これを、できれば5セット程度やっていただきたいです。
胸郭を形成している筋肉は、10種類ほどあります。僧帽筋、外肋間筋、横隔膜など、挙げたらきりがないのですが、トレーニングではその筋肉に刺激を与えているのです。そうすることによって胸郭が開いて行きます。
飯田)やってみると、何だかすっきりした気がします。普段はこんなに体を伸ばす機会がないですものね。
小林)日ごろ、皆さんケータイなどを見ていて、猫背になりがちです。肺が開かない状態になっているのです。
新行市佳アナウンサー)凝り固まっているわけですね。この動きをするときも、鼻から吸って口から出すのですか?
小林)そうですね。鼻呼吸だけでやるのはなかなか難しいので、鼻から吸って口から出すことができれば十分です。ヨガや太極拳もそのようにやっていますよね。たかが呼吸なのですが、呼吸はメンタルや腸にも影響して来ますし、全身に影響を及ぼします。たかが呼吸、されど呼吸です。
飯田)コロナ禍で外に出られなかったり、制限されることも多く、ストレスが溜まっている方も多いと思います。少し深呼吸するだけでも、やはり気持ちの面は変わりますか?
小林)血流がよくなると、幸福物質であるセロトニンやオキシトシンなどにも関係して来ます。呼吸を変えることで、例えば空が違った色に見えるような気持ちになったりします。それがいま、すごく重要なことだと思います。
飯田)コロナ禍だからこそですね。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます